とりあえず投資し始めてみたけど…。
みんなと同じ様にやっておけばいいのかな?
みんながやっているからという理由で資産形成を始めるのはありがちですが、自分自身の目的が定まらないまま進めていくのは危険です。
今回は、資産形成にあたって目的を定めることに重要性を解説していきます。
資産形成の目的
このサイトを見ているあなたはきっと資産形成の必要性を感じ、自分なりに勉強しているのでしょう。
NISAはどの様に使えばいいのか、どんな投資信託を買えばいいか、どの様に節約して投資資金を捻出するか等、色々な資産形成の方法を学ばれているところだと思います。
ところで、あなたはなんのために資産形成をしようと思ったのか説明できますか?
FIREして趣味に生きるため?
自分の年金が不安なため?
子供の教育費のため?
家を買うため?
車を買うため?
それとも…なんとなく?
きっと、「将来不安だし、ニュースとかでもNISAっていうのが良いって聞いたしなんとなくやっておくか」みたいな方も結構いるのではないでしょうか。
資産形成をすることは大切なことですが、目的を理解しないまま始めるのはおすすめしません。
今回は、資産形成の目的が定まっていない方向けに、その重要性を説明したいと思います。
節約は現在と未来のトレードオフ
資産形成の目的を定めるにあたり、前提として理解していただきたいことが、「節約は現在と未来のトレードオフである」ということです。
節約することで、貯金したり、投資をして、未来に残せるお金が増えます。
節約は資産形成をするうえの第一歩で、私としてもとても重要なことだと思っています。
しかしその反面、今得られたはずの経験や物を得ることを見送るということになります。
お金が掛かることを理由に今やりたいことを我慢して将来やろうと思っても、お金に余裕が出来たころにはすでに高齢になっており、やりたいと思った時程の感動が得られなかったり、そもそも体力的に実行が難しいということもありえます。
資産形成は今を我慢してただお金を貯める行為ではなく、あなたの人生をよりよくするために行うものです。
お金は貯めるためにあるのではなく、使うためにあります。
死後、あの世にお金が持っていけるわけでもありません。
人生最期の日に「若い頃にあれをしておけばよかったな…」という後悔が1つでも少なくなるよう、お金で解決できるやりたいことがあるのであれば、できる時にやっておくというのも一考すべきではないでしょうか。
さすがにHIKAKINの20億円の家みたいな豪邸に住みたいというのは難しいですが。。。
やりたいことをすべてやるというのは金銭的にも時間的にも現実的には難しいですが、現在と未来を天秤に掛け、優先度をつけ、時には使うという選択肢を選ぶことも必要だと思います。
資産形成とは、なんでもかんでもお金を増やせばいいというものではありません。
しかし、そもそも資産形成の目的が定まっていないと、何にお金を使って良くて、何に使ってはいけないかの判断基準があいまいになります。
結果、本当はやりたいことを我慢して、不必要な資産形成をすることにもなりかねません。
今しかできないことってたくさんありますからね。
資産形成は手段でしかない
岸田首相は令和5年を「資産所得倍増元年」とし、「貯蓄から投資へ」のシフトを大胆かつ抜本的に進めていくことを表明しました。
その少し前には老後2000万円問題も話題になったこともあり、お金に関心を持ち始める人が少しずつ増えてきました。
人々がお金に興味を持ち、金融リテラシーを高めることはとても良いことだと思いますが、一方で、世の中のあちこちで煽るように「NISAを使って将来のために自分で資産形成をしましょう」、「投資に回すため、日々の生活費を節約をしましょう」、「とりあえず○○を買っておきましょう」という情報が飛び交っています。
資産形成に関するサイトを運営しておきながら何を言っているのかと思われるかもしれませんが、この現状には個人的に少し思うところがあります。
というのも、資産形成というのはあくまで手段であって、目的ではありません。
資産形成という手段にばかりフォーカスを当てられており、目的について語られることが少ない様に感じています。
目的によって資産形成の手段は異なりますし、貯金や投資するよりも使うべきな場合もあります。
それを考慮せずに一緒くたに「節約して○○に投資しましょう」とされてしまっているのは手段が目的になってしまい、本末転倒ではないでしょうか。
とりあえず早くやらなきゃと思ってました…。
資産形成の正解は目的による
この記事を書いている2024年1月時点では新NISAが始まり、何に投資するのが正解かという話題で盛り上がっています。
そうすると大体どこを見ても「NISAでオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))買っておけば間違いない」と書いてあります。
実際、このオルカンは非常に良い商品だと思いますし、NISAとの相性も良いです。
私自身も新NISAでオルカンを購入しています。
しかし、それは私の資産形成の目的と照らし合わせるとNISAにオルカンという選択が正解だと思ったからです。
万人にNISAにオルカンが向いているかと問われれば、そんなことはないというのが私の見解です。
例えばですが、若年層の老後資金目的であれば、私ならばNISAよりも先にiDeCoの活用から勧めますし、60代の方にオルカン全力を勧めません。
ゴールベースアプローチという考え方があります。
資産形成するにあたり、ゴールを定め、順位付けし、手段を選択、実行した結果をレビューしていくというものです。
人によって資産形成の目的は異なりますし、優先度も異なります。
まずは目的を定めないことには、何をしなければならないのかは決めようがありません。
まるで絶対的な正解がある様に思われがちですが、そんなことはありません。
資産形成の正解は、人の数だけあるのです。
みんなと同じことするとついつい安心しちゃいますよね。
資産形成の目的の決め方
ここまでで資産形成にあたり、目的が必要であることがお分かりいただけたと思いますが、いきなり目的を定めるといってもなかなか難しいと思います。
ここでは、目的を決めるうえでの考え方について説明していきます。
資産形成の目的を大きくグルーピングすると、大体下記の3つに分かれるのではないでしょうか。
- 老後資金の確保
- ライフイベントの資金の確保
- 人生を充実させるための資金の確保
一つ目の老後資金は見た通りですが、老後の生活費に充てる資金です。
今後、超高齢化社会が到来するのは明らかであり、税負担の増や、年金の減が見込まれます。
老後2,000万円問題で話題になった通り、今後年金だけで生活するのは難しいのが現実でしょう。
健やかで穏やかな老後を過ごすためにもお金は必要となりますので、老後資金を充実させるという動機で資産形成を行う方は多いのではないでしょうか。
二つ目のライフイベントの資金ですが、これは結婚や子育て、住宅購入、教育費等のライフイベントで発生する費用に充てる資金です。
クリエイターであれば、独立の際の準備資金等もあるかもしれませんね。
その人のライフプランによってあるライフイベント、ないライフイベントがありますが、大きなお金が発生するライフイベントはある程度万人に共通しています。
時期は人により異なりますが、ある程度計画的に資産形成していかないと急に準備できるお金ではありません。
三つ目の人生を充実させるための資金ですが、これは人の価値観によりますので千差万別です。
「世界一周旅行をしたい」、「個展を開きたい」、「大学で勉強し直したい」、「高級車を買いたい」等なんでもあります。
人生の中で、マストなライフイベントではなく、やらなくても困らないものですが、その人の人生を彩る大切なものです。
まずはこれら3つの抽象的な目的から連想できる具体的な目的をひたすら書き出してみましょう。
今の時点では、優先度は考えずに項目出しすることに専念してください。
ちなみに、これをブレーンストーミング(ブレスト)と言ったりします。
粗方出尽くしたら下記の様な表にそれぞれ当てはめていきましょう。
重要度高 緊急度低 | 重要度高 緊急度高 |
重要度低 緊急度低 | 重要度低 緊急度高 |
一般企業に就職した方であれば、研修などで聞いたことがあるかもしれませんが、この様な表をマトリックス表と言います。
仕事の重要度と緊急度毎にグループ分けし、優先順位を明確にし、タスク処理していく際に活用します。
結構便利な表で、私は仕事以外でも使うことが多いのですが、今回は資産形成の目的を考えるうえでこの表を活用してみます。
重要度と緊急度の考え方ですが、重要度とは自分の人生において必須か否か、緊急度は5~10年以内に必要かで考えてみてください。
例えば、社会人になったばかりのとある20代前半の人が、将来年金だけでは生活できないと考えれば、老後資金は重要度が高いものになりますが、まだ何十年も先のことですので、緊急度は低いですよね。
つまり、この人にとって老後資金は、オレンジのグループに該当することになります。
一方で、そろそろ定年退職を迎えるとある60代前半の人にとっては、あと数年すれば老後ですので、緊急度は高いです。
また、今までに資産形成できていなければ重要度も高くなります。
つまり、この人にとっては老後資金は、赤のグループに該当することになります。
この様に同じ内容でも、人によって該当するグループは変わってきます。
このマトリックス表で書き出した内容をグルーピングしていくと、何を目的に資産形成しなければならないか見えてきます。
重要度が高い赤とオレンジのグループは、猶予の違いはありますが、いずれもあなたの人生において重要なものですので、計画的に準備していく必要があります。
基本的に、ここの属するものが資産形成の目的となるのではないでしょうか。
一方で、緑のグループは重要度も低く、緊急度も低いため、このグループに属する目的のために資産形成を改めてする必要性は低いと言えます。
なぜならば、赤やオレンジのグループの資金にゆとりが出た時にお金を回せば済むからです。
一番悩みどころなのは、青のグループです。
重要度が低く、緊急度が高いものですが、きっと「人生を充実させるための資金」に該当する目的で、今でないとできないものが多いのではないでしょうか。
「節約は現在と未来のトレードオフ」の項でも述べましたが、その時にしかできないことであれば、お金を使うことも選択肢の一つです。
その時にしか得られない経験や感動を得られるならばその人にとっては大切な財産となり得ます。
赤やオレンジに属する目的に大きな影響がない範囲で、このグループのことも積極的に行えるといいですね。
ここで目的を定めたら、ライフプラン表を作成してみることをお勧めします。
いつまでにいくら用意しなければならないのかが明確になりますので、資産形成の計画や戦略が立てやすくなります。
具体的な方法は下記の記事で解説していますのでご覧ください。
漠然としていた目的が具体化してきました!
目的を定めて自分に合った資産形成を
今回は、資産形成の目的を定める重要性について解説してきましたがいかがだったでしょうか。
焦ってゴールが見えないまま走り始めても、目的地には決してたどり着くことはできません。
また、目的は人それぞれです。
他の人と同じようにやっても、自分が求める目的を達成できるとは限りません。
自分なりの目的を定め、目的にあった資産形成をしていきましょう。
一人で考えるのが難しければ、周りの人やFPに相談してみるのもいいですね。