最近家の価格がすごく高いですよね。
夫婦でペアローンを使って買うのがいいんでしょうか?
都市部のタワマンであれば、1億越えがあたりまえなくらい、不動産価格が高騰しています。
そこでペアローンを活用し、多くの資金を借りる夫婦もいますが、トラブルも発生しています。
今回はペアローンを利用する際の注意点について解説していきます。
- ペアローンとは
- ペアローン利用の注意点
- 収入合算
ペアローンとは
ペアローンとは1つの不動産に対し、夫婦でそれぞれローンを組む方法です。
ペアローンを活用することによって、借入額を増やすことでできますので、共働き世帯が多い現代では、20代・30代の5人に1人がペアローンを利用しているようです。
(参考|三井住友トラスト・資産のミライ研究所 【第110回】令和の“住まい”と住宅ローン事情~ 20代・30代の住宅ローン、5人に1人はペアローンを利用 ~)
ローンの契約としては別物になります。
そのため、事務手数料や団体信用生命保険はそれぞれに掛かりますが、ローン控除は2人とも利用できます。
なお、ペアローンでは、それぞれの契約に対し、連帯保証人になる必要があります。
連帯保証人って危険な感じがしてしまいますが大丈夫でしょうか…。
ペアローンのトラブル事例
収入減
ペアローンを組む理由として、借入額を増やすことを目的とする家庭が多いと思います。
この場合のリスクとしては、失業や子育て等による収入減です
自分やパートナーの収入が途絶えたり、減ってしまった場合でも、ローンは返済し続けなければなりません。
そのため、連帯保証人であるもう一方が自分の債務に加え、相手のローンも支払うことになります。
家探しは楽しいもので、自分にとって理想的な物件が見つかると気分がものすごく盛り上がってしまい、お金のことはついつい頭の片隅に追いやられてしまいがちです。
そのため、借入時に将来の世帯収入の変動リスクを考慮せず、それぞれの年収から借りられる金額の限界まで借り入れてしまう家庭は結構多いようです。
こういったリスクが顕在化したその時になって初めて気づき、ローンが支払えず、泣く泣く物件を手放すという話は多いです。
離婚
ペアローンの別のリスクとしては離婚です。
初めから離婚するつもりで結婚する人は、仮面夫婦の契約をする公爵と令嬢の様な、相当特殊な事情でない限りはいないと思いますが、どんな家庭であっても絶対に離婚しないという保証はありません。
ペアローンを組んでいて離婚する場合、だいぶ面倒くさいことになります。
まず、前提として、ペアローンを組んでいる場合、その物件は共有持分を持つことになります。
例えば、5,000万円の物件を夫婦でそれぞれ2,500万円ずつ費用負担し、ローンを返済していくとすれば、建物の持分は夫:妻=50:50です。
しかし、建物を物理的に2つにわけることはできません。
離婚するとなると、基本的には別居することになりますので、建物は片方が保有し続けるか、売却することになります。
まず、保有し続ける場合を考えていきましょう。
片方が保有して住み続ける場合、もう一方は出ていくことになりますので、普通に考えれば、住みもしない物件を保有し続けることはしないでしょう。
そうすると、共有を解消することを考えると思いますが、その場合、住み続ける方は、相手の持分を買い取り、ローンも一本化する必要が出てきます。
しかし、相手の持分を買い取るにしても多額の現金が必要ですし、ローンの一本化も金融機関によるでしょうが、繰り上げ返済する等の条件を満たさない限り、認められないケースがあります。
次に売却するケースを考えてみます。
ローン残高以上の金額で売却できればそのお金でローンを一括返済できるので良いですが、ローン残高を下回る金額でしか売却できなかった場合はどうでしょうか。
売却額だけではローンを返済しきれないため、売却してもなお、ローン残高があり、住まない家のローンを返済をしなければならなくなってしまいます。
なお、住宅ローンは自身が住む住宅のためのローンであることを条件に、他のローンに比べ、金利が低く設定されています。
しかし、離婚して、別居した後も共有を解消できていなかったり、物件を手放しても売却額が足りず、ローン残ってしまったり等、自分が住まない住宅のローンが残ってしまった場合、契約違反となる可能性があります。
この様に、ペアローンを活用して購入した物件は、離婚した場合、後処理が煩雑で、手間になります。
こんなことになったら大変そう…。
ペアローンの有効活用
それではペアローンを有効活用するにはどうすれば良いかをクリエイターの視点も踏まえつつで考えていきます。
その前に前提として、個人的にはペアローンをそこまで積極的には推奨していません。
ペアローンを組まなければ借入額が足りないのであれば、借入額に対して収入が見合っていないということですし、権利関係が複雑化するので、何か起きたとき、上記で例示したような面倒なトラブルが生じます。
ローンに限らず、契約というのはシンプルでわかりやすい方が望ましいです。
基本は自分一人で借りるというのをベースで考えましょう。
そのうえで、まずは借入額について考えていきます。
借入額は、2馬力だからと言って安易に2倍の金額を借りるのはやめましょう。
どうしてもほんの少し足りない分をペアローンで上乗せする程度にしておいた方が望ましいです。
借入額を増やすことができるというのはペアローン最大のメリットでもあり、デメリットでもあります。
借入額が増えるということは、返済額も増えることだというのを理解しておきましょう。
片方の収入が途絶えてしまった時のことを考慮し、1人でも払い続けられる範囲での借入額に留めるべきです。
次に借り手の属性ですが、2人でフリーランスというのは出来るだけ避け、片方は会社員でいる方がベターです。
フリーランスの場合、会社員と異なり、収入が不安定で、民間保険で対策しておかなければ、休業した場合の保障がありません。
フリーランス側の収入が途絶えたとしても、会社員側が働き続けられれば、一定の収入は維持できます。
逆に、会社員側が病気や育児で休業してたとしても、給料分全額ではありませんが、公的保険で一定期間保障されますので、世帯としての収入減の影響は限定的です。
リスクヘッジとして、やはり会社員の安定した待遇は魅力的です。
夫婦双方どうしてもフリーランスで働くならば、保険に加入しておくか、あらかじめ貯金を用意しておくことが必要です。
フリーランスに不足する保障については下記の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。
ちなみに、ペアローンは二つの契約ですので、返済方法を夫婦で揃える必要はなく、分けることが可能です。
例えば、安定的な収入のある会社員側は固定金利で毎月計画的に返済していき、フリーランス側は利率の低い変動金利にして月々の返済額を抑え、まとまった収入があった時に積極的に繰り上げ返済していくような運用も可能です。
この様に、家庭の状況に合わせた最適な契約方法を考え、選択することが必要です。
色々と考えて使わなきゃですね。
収入合算
ペアローンに似たローンの契約形態として、収入合算というものがあります。
ペアローンの様に、2人の収入を合算しますが、ペアローンと異なり、ローンの契約は1本となります。
収入合算には、1人が主債務者となり、もう1人が連帯債務者となる連帯債務型と、連帯債権者となる連帯保証型があります。
主な違いは下表を参考にしてください。
項目 | ペアローン | 連帯保証型 | 連帯債務型 |
---|---|---|---|
契約数 | 2本 | 1本 | 1本 |
契約者 | 2名 | 1名 | 1名 |
返済者 | 2名 | 契約者 ※契約者が支払えない時は連帯保証人 | 契約者または連帯債務者 |
ローン控除 | 2名 | 契約者 | 2名 |
団信 | 2名 | 契約者 | 契約者 |
ちなみに私が家を建てた時は、連帯債務型のローンを選択しました。
まとめ
今回は、ペアローンについて解説してきました。
不動産価格が高騰している現在、共働きの家庭にとって、ペアローンは有効な手段の様に思われがちです。
しかし、メリット・デメリットをしっかりと理解していないと、後になって大きなトラブルとなることもあります。
ライフプランと返済計画をしっかりと立てて、無理のない返済が出来る様に有効活用していきましょう。
ペアローンに限らず、住宅ローンの組み方についてご質問がある場合は、問い合わせフォームよりお問い合わせください。
私がローンを組んだ時の話なども含めて出来る範囲でご回答させていただきます。
無理なく返済出来る様にしっかり理解しておかなきゃですね!