iDeCoって響きがちょっとかわいいですけど、いったいどんな制度なんですか?
個人的に、iDeCoは老後2,000万円問題対策の救世主となりうる、非常な優秀な制度だと思っています!
もちろん私もやってますので、今回は、iDeCoの概要について説明していきます
iDeCoとは?
iDeCoは「個人型確定拠出年金」という制度の愛称です。
個人型確定拠出年金とは、自分で毎月決まった額の掛金を積み立てていき、老後に年金や一時金として受け取ることができる制度です。
※ただし、原則、途中で解約ができず、60歳までお金を引き出すことができません。
積み立てて老後に受け取るだけじゃ貯金しているのと変わらないのでは?と思った方もいるかもしれません。
iDeCoがすごいのはここからです。
iDeCoは「自身で運用できる」、「節税効果がある」という大きな特徴があります。
iDeCoで運用?
iDeCoは、自分で拠出した掛金を自分自身で選んだ金融商品で運用することができます。
そのため、将来受け取る金額は、運用益次第ということです。
自分で運用するというと「難しそう」、「損しそうで怖い」という方もいるかもしれませんが、iDeCoの対象となる金融商品は、日経平均等の指数に連動した「パッシブ型(インデックス)」、元本を下回ることがない「元本保証型」、様々な商品に分散投資する「バランス型」等、他にも様々あり、自分が許容できるリスクに応じた選択ができます。
また、購入する際は、あらかじめ指定した比率で機械的に購入する様に設定ができるため、画面に張り付いて、胃を痛くしながら自分でタイミングを計る必要はありません。
現在、銀行の金利は0%に近く、あってないようなものです。
一方で、円の価値はインフレや円安で目減りする一方です。
つまり、運用せずに円を保有しておくことは見た目上の金額は変わっていなくとも、相対的な価値は下がっています。
1年後の10,000円札の価値は、今日の10,000円札の価値とは違うのです。
あなたが年金を受け取る時、円の価値はもっと下がっているかもしれません。
そのため、資産を増やすだけではなく、目減りに備えるという意味でも、運用することは非常に大切なことなのです。
iDeCoで節税?
iDeCoを利用する最大のメリットが、節税効果です。
iDeCoで節税の恩恵を受けられるタイミングは、全部で3つあります。
- 掛金を拠出した時
- 運用益が出た時
- 老後に受け取る時
順番に見ていきましょう。
掛金を拠出した時
iDeCoの掛金は、確定申告において、「小規模企業共済等掛金控除」の対象となっており、所得から掛金を控除することができます。
所得税額は、下記の式で計算されます。
$$所得税額 = 課税総所得金額 \times 税率 – 控除額$$
上記式からわかるように、課税総所得金額を減らせば、所得税額は下がります。
小規模企業共済等掛金控除を使うと、その分、課税総所得金額が減るので、所得税額を減らすことに繋がります。
運用益が出た時
通常、株や投資信託等の運用をすると、運用益に対し、20.315%の税金が掛かります。
仮に100万の利益が出たとしても、203,150円も税金で引かれてしまうのです…。
しかし、iDeCoでは運用益に対して非課税です。
つまり、100万の利益が出たら、100万円受け取ることが出来るのです。
老後に受け取る時
iDeCoで積み立てたお金は、年金として受け取るときは「公的年金等控除」、一時金として受け取る時は「退職所得控除」の対象となります。
所得税額の計算式は、先ほどもお示ししましたが、掛金拠出時と同様に、これらの控除を活用すると、課税総所得金額を減らすことができ、その分所得税額を減らすことに繋がります。
iDeCoの拠出限度額は?
iDeCoは、個人の加入資格によって、掛け金の限度額が異なります。
下記の表の範囲内で、月々5,000円以上1,000円単位で拠出することができます。
資格 | 拠出限度額 |
---|---|
フリーランス等 | 月額6..8万円 ※国民年金基金・国民年金付加保険料と合算 |
企業年金がない会社員 | 月額2.3万円 |
企業型確定拠出年金のみに加入している会社員 | 月額2万円 |
確定給付企業年金・厚生年金基金等と 企業型確定拠出年金に加入している会社員 | 月額2万円 |
確定給付企業年金のみに加入している会社員 | 月額1.2万円 |
公務員 | 月額1.2万円 |
専業主婦(夫) | 月額2.3万円 |
どんなクリエイターにiDeCoは向いている?
ここまでiDeCoの特徴をご説明してきましたが、クリエイターという職業のことも加味しながら、どんな方に向いているのか考えていきましょう。
これまで、iDeCoを手放しで褒めちぎってきましたが、すべての人に勧めるべき制度なのでしょうか。
個人的にはiDeCoは非常に優れた制度だと思っていますが、万人に勧められるわけではありません。
先ほどご説明した通り、iDeCoは自分で金融商品を運用する必要があります。
企業勤めのクリエイターは職場環境によるかと思いますが、フリーランスのクリエイターは、自宅のPCの前で作業していることが多いと思います。
つまり、比較的、仕事中にリアルタイムで経済動向や、運用商品の評価額等の情報にアクセスしやすい環境にあるということです。
iDeCoは、デイトレードの様に頻繁に売買するものではなく、淡々と毎月積み立てていく運用が基本で、日々の評価額を追う必要はありません。
しかし、こういった積立スタイルでも、「日経平均下落」、「景気悪化」といったニュースを聞いてしまうと、日々の評価額が気になり、少し下がっただけで狼狽えてしまい、仕事が手につかなくなるような方も一定数存在します。
クリエイターの仕事は、非常に繊細なものです。
そのようにメンタルが乱れた状態で、クリエイティブな作品を生み出すことは難しいのではないでしょうか。
自分の将来のための投資なのに、今の仕事に影響を与えるようであれば本末転倒です。
そのため、iDeCoが向くクリエイターとは、「一定のリスクを許容でき、ある程度運用していることを放っておける方」ではないかと個人的には思います。
先に述べた様にiDeCoは個人的に非常にお勧めの制度であり、一人でも多くの方に有効活用してほしいと思っていますが、それ以上にクリエイターには、作品作りに注力してほしいとも思っています。
そのため、仕事に影響が出てしまう可能性にある方は、無理にiDeCoを使わず、別記事でご紹介する他の制度や投資手段を活用していただくことも検討していくのがよいのではないでしょうか。