お金を貯める方法として「先取り貯金」がよくおすすめされてますよね。
やっぱり「先取り貯金」しておけばどんどんお金が貯まるんでしょうか?
「先取り貯金」といえばお金を貯める方法としては定番です。
しかし、個人的には「先取り貯金」はクリエイター向けではないと考えています。
そこで今回は、貯金したいクリエイター向けに「先取り貯金」をおすすめしない理由と、クリエイター向けの貯金方法についてお話していきたいと思います。
世間の一般論とは異なると思いますが、こういう考え方もあるんだなと参考にしてもらえればと思います。
- 先取り貯金とは
- クリエイターの先取り貯金が向かない理由
- クリエイター向けの貯金方法
先取り貯金とは
「先取り貯金」とは、収入額から先に決まった額を貯金に回すことです。
一般的に貯金は、収入から生活費等を支払い、残ったお金を貯金に回すという方が多いと思います。
しかし、つい手元のお金を使いすぎてしまい、貯蓄に回せるお金が残らなくなってしまったという経験をした方は多いのではないでしょうか。
そこで考えられたのが「先取り貯金」です。
貯金するお金を先に別口座に移すこと、つまり先取りすることで、残ったお金で生活しなければならないため、確実に貯められるという方法です。
先取りすることで無意識に貯められそうですね。
先取り貯金が成立する3要件
一見、「先取り貯金」は非常に合理的な方法に見えます。
しかし、ある3つの要件を満たさないと、個人的にはあまり効果がない様に思います。
私が思う「先取り貯金」が成立する3要件としては下記が考えられます。
現金払い
1つ目の要件は、現金払いをするということです。
給料日にお金を口座から引き出して、封筒に目的別に仕分けて家計管理するという方法は昔からあります。
確かに現金をあらかじめ目的別に仕分けて、現金がいくらあるのか確認しながら買い物をするならば、「先取り貯金」は有効な手段でしょう。
しかし、クレジットカードやQRコード等のキャッシュレスが当たり前になった今の世の中、現金払いしかしないという人は少ないのではないでしょうか。
下記は、消費者庁が発行する令和3年版消費者白書から抜粋した図です。
全体で約6割近くの方がキャッシュレス決済を利用していることが分かります。
今後キャッシュレス決済の利用率はもっと増えていくでしょうから、現金払いをする人はさらに減っていくことが予想されます。
ところで、日々キャッシュレス決済する際に、使用額を気にしている人はどれくらいいるでしょうか。
チャージ式のキャッシュレス決済であれば比較的管理はしやすいかもしれませんが、クレジットカードでいくら使ったかを毎回確認している人は少ない様に思われます。
キャッシュレス決済は便利な反面、気づかないうちに使いすぎてしまうことが多々あります。
意識して利用状況を把握しないと、キャッシュレス決済の使用額をしっかり把握するのは難しいことです。
そのため、いくら「先取り貯金」したところで、使用額を把握せずに使いすぎてしまえば、貯金しているのに赤字ということも起こりかねません。
収入の平準化
2つ目の要件は、収入の平準化です。
「先取り貯金」をする場合、毎月一定額を引き落とされる様に銀行のサービスで設定する人が多いのではないでしょうか。
月によって先取りする金額を変える人はあまりいないでしょうし、いちいち変えていたら手間です。
例えば、毎月5万円の先取り貯金をしている人の毎月の収入が30万円であれば、残った25万円で毎月生活することになります。
しかし、月によって収入にバラつきがある場合はどうでしょうか。
極端な例ですが、ある月は5万円、ある月は55万の収入がある様な人は、月の平均収入は30万でも、手元に1円も残らない月が発生することもありうるということです。
そのため、「先取り貯金」するならば、収入がある程度平準化されていることが必要です。
支出の平準化
3つ目の要件は、支出の平準化です。
考え方は2.収入の平準化と変わりません。
「先取り貯金」した結果、手元に残るお金が毎月25万円であれば基本的に25万円以内で生活しなければなりません。
しかし、「ある月は20万円」、「別のある月は30万円」などバラつきがあると、赤字になってしまう月が生じることもありえます。
その場合、不足分を貯金から補填しなければならなくなります。
どうせ貯金から補填し直さなければならないのであれば、先取りしている意味がありません。
そのため、「先取り貯金」をするならば、支出もある程度平準化されていることが必要です。
先取りしても赤字になってたら意味ないですね…。
クリエイターには向かない先取り貯金
「先取り貯金」が成立する3要件を述べました。
ところで、クリエイターでフリーランスの方、これらの要件をいくつ満たせましたか?
まず1つ目の現金払いについてですが、クリエイターのお仕事の性質上、在宅での仕事が多くなると思います。
そうすると、買い物も自宅に居ながらすることが多いのではないでしょうか。
AmazonやUber Eats等、現金払いできない訳ではありませんが、キャッシュレス決済を利用する方が多いかと思います。
お金の利用状況は現金の方が直感的にわかりやすいですが、だからと言って、わざわざ時代に逆行して現金払いにする必要もありません。
2つ目の収入については、会社員であったり、法人化して給料をもらっているクリエイターでない限り、バラつきが生じやすいのではないでしょうか。
案件によって対価や支払いのタイミングは異なりますので、毎月○万円という一定した収入は得づらいはずです。
そうは言っても、収入については相手あっての話ですので個人ではどうしようもありません。
3つ目の支出についてはクリエイター特有の問題ではありませんが、平準化できている方はあまりいないのではないでしょうか。
税金の支払いや保険料の一括払い、旅行、車検等、ある月の支出が膨らむというのは普通のことで、きっちり平準化するのは現実問題かなり難しいと思います。
結局飛び出た支出を、貯金から補填しなければなりません。
確かにフリーランスだと先取りしづらいかもしれませんね。
クリエイター向けの資金管理は?
「先取り貯金」がクリエイターに向かないのならどの様に資金管理をすれば良いのでしょうか。
一例を挙げてみます。
家計簿アプリの導入
キャッシュレス決済が推進されている今の世の中で、あえて現金払いをする必要はありません。
そこで、家計簿アプリを入れて、キャッシュレス決済と連動させましょう。
様々な家計簿アプリがありますが、キャッシュレス決済と連動させると、精度の差はあるものの、支払い内容から自動的に支出科目別に振り分けてくれるため、何にいくら使ったか一目瞭然です。
また、各科目ごとに予算額を設定できますので、わざわざ現金を封筒に分けて、残金を確認するまでもなく、同じようなことが可能です。
前期の収入で生活
収入が一定でないクリエイターは月ベースで収支を安定させるのが困難です。
そのため、毎月の収入で生活するという考えをそもそも捨て、予算額をあらかじめ口座に入れておいて生活する様にしましょう。
これだけだと何を言ってるかわからないと思いますので、具体例を挙げて説明します。
例えば、1年分の生活費を予算化(仮に300万円とする)し、あらかじめ生活費用口座に入金しておきます。
この予算は、経常的な支出だけでなく、年1回支払う税金の様な支出も含めて組みます。
さらに、この300万円を用途別におおまかな予算額を定め、1年間でその中で生活する様に管理します。
なお、ここで入金した300万円の原資は、昨年1年間(前期と表現する)の収入です。
そして、毎月の収入はこの生活費の口座には入金せず、別の収入用口座に入金します。
1年経過し、次の年になったら、前期の収入(仮に400万とする)のうちから予算300万円を生活費用の口座へ入金し、差額の100万円は貯金に回します。
月でなく、年ベースで資金管理することで、月々の収入や支出にバラつきがあっても、年間を通して予算内に収まれば良いので、関係ありません。
毎月の先取りしていないので、赤字の時に、貯金から補填する手間もありません。
あらかじめ年間予算を口座に入れておけば、月々の黒字赤字を気にする必要がなくなりますね。
先取り貯金に拘る必要はなし
今回は、貯金したいクリエイターに「先取り貯金」が向かない理由と、クリエイター向けの資金管理についてお話しました。
クリエイターは月ごとに収支の変動が激しいので、毎月一定額を貯金に回す先取り貯金は馴染みにくいです。
また、いくら使っているか見える化できていないと、毎月赤字になりながら貯金するという本末転倒なことにもなりかねません。
そこで、月々の収入で生活するのではなく、あらかじめ口座に用意しておいたお金で、ある程度まとまったスパンで資金管理することで、計画的に貯金は可能です。
私自身は雇用されて働いている身なので、収入は安定しています。
しかし、現金はほとんど使いませんし、支出は月ごとに変動が激しいです。
そのため、先取り貯金をしていた時期もありましたが、どうもいまいちという感想でした。
一方、現在は、今回ご紹介した様な方法で資金管理をしていますが、こちらの方が向いている様に感じています。
「先取り貯金」は定番の方法としてどこでも紹介されていますが、万人に向いている訳ではありません。
「先取り貯金」に拘らず、自分のスタイルに合わせた方法を見つけることが大切です。
はじめのうちは、貯金する仕組みづくりが難しいですが、慣れてくれば機械的に行えるようになります。
そうは言っても、なかなか一人では貯金ができないという方も多いかもしれません。
誰かに「貯金の仕方で相談したい」ということがあれば、ぜひ問い合わせフォームからご相談ください。
あなたに合った方法は何か、一緒に考えていければと思います。
自分なりの型を見つけるのが大事なんですね!