投資信託のことを調べると大抵「アクティブファンドはやめておけ!」という意見を見かけますが実際のところはどうなんでしょうか?
やっぱりインデックス一択なんですかね?
一般的に、アクティブファンドはインデックスファンドに勝てないという意見が主流ですよね。
今回は、アクティブファンドの実態と上手に活用していく方法をご説明します。
- アクティブファンドの実態
- アクティブファンドの活用方法
アクティブファンドに対する世間の評価
「インデックスファンドに勝っているアクティブファンドはほとんどない」
投資信託に関して情報収集する中で、この様な文言を目にすることが多いのではないでしょうか。
「信託報酬は高いし、成績が良いファンドも少ない、それであればインデックスファンドを買っておくのが正解」というのが世間の一般的な評価の様です。
このためアクティブファンドは敬遠され、インデックスファンド人気が進んでいるようですが、実際のところはどうなのでしょうか。
この記事執筆時点でSBI証券における投資信託の販売金額人気ランキングがこちらです。
流行モノやブルベアもいくつか入っていますが、インデックスファンドが過半を占めていることがわかります。
やはり実態として、インデックスファンドが圧倒的に人気な様です。
オルカンやS&P500などよく聞くファンドがやはり上位を占めてますね。
アクティブファンドの勝率
それでは、実際のところ、アクティブファンドはどの程度の勝率なのでしょうか。
これについては、金融庁が公表している「資産運用業高度化プログレスレポート2023」に記載がありましたのでご紹介します。
これらのグラフですが、各地域の大型株に投資するアクティブファンドについて、コスト控除後リターンをベンチマークと比較したものです。
各ベンチマークは、日本がTOPIX(配当込み)、米国がS&P500(配当込み)、欧州がMSCI Europe(ネット、ドルベース)です。
このグラフを簡単に説明すると、インデックスファンドに対し、アクティブファンドの勝率が10年間でおおよそ10~30%ということが分かります。
これを高いとみるか、低いかとみるかは人それぞれですが、すばらしいアクティブファンドに出会うのはなかなか難しそうです。
10~30%しかないファンドを選べるかなぁ……。
アクティブファンドのリスク
それでは、アクティブファンドはどの様なリスクがあるのでしょうか。
「成績のバラツキが大きい」、「信託報酬が高い」、「成績が振るわず早期償還」といったものが一般的に思いつくリスクだと思います。
もちろんこれらのリスクを理解することも大事ですが、私はその前段として、「ファンドマネージャーのリスク」が重要だと考えています。
「ファンドマネージャー」とは、その投資信託の運用を指揮する責任者のことを指します。
それでは「ファンドマネージャーのリスク」とは何なんでしょうか。
私の見解を踏まえながら説明していきます。
ファンドマネージャー交代リスク
組織で働く以上、会社や個人の事情により、異動や退職等の可能性は切り離せません。
そのため、投資先のファンドマネージャーがある日交代になってしまうというのは良くある話です。
企業において社長が変わった結果、経営状況が変わることがある様に、ファンドのヘッドであるファンドマネージャーが交代することで、運用方針や成績が変わってしまうことも起こり得ます。
インデックスファンドであれば、ベンチマークと連動する様に運用すれば良いので、比較的ファンドマネージャーの能力による差が発生しづらいはずです。
※インデックス運用が簡単という訳ではありません。
しかし、アクティブファンドでは、ベンチマークを上回る様に運用しなければなりませんので、運用哲学や手法等を組織でシステマチックに引き継いでいたとしても、インデックスファンドに比べると、ファンドマネージャーの手腕に影響されることが大きいはずです。
また、超優秀なカリスマファンドマネージャーの力により運用されてきたファンドの場合は、その人が抜けたことにより、全くの別物のファンドになってしまう可能性も否定できません。
ファンドマネージャーの不透明リスク
実は、アクティブファンドに限らず国内の多くのファンドでは、ファンドマネージャーが公開されていません。
そのため、私たちは顔も名前も経歴もわからない相手に対し、お金を預けていることになります。
インデックスファンドであれば、組織としてある程度標準化した手法が確立されていると思いますので、ファンドマネージャーの顔が見えなくても、組織に対して信頼がおけるのであれば、良いと思います。
しかし、アクティブファンドはインデックスファンドよりもファンドマネージャーの色が出やすいため、組織でなく、その人を理解することが重要ではないでしょうか。
また、ファンドマネージャーが公開されていないということは、私たちがファンドマネージャーの交代を把握するのも難しいと言うことです。
知らぬ間にファンドマネージャーが交代され、気づいたら頃には時すでに遅し。
成績が急落…ということもないとは言い切れません。
アクティブファンドにおいては、ファンドマネージャーの透明性が非常に重要なのではないでしょうか。
確かに知らない間に責任者が変わったら不安になりますね……。
アクティブファンドの選び方
ここからは、私のアクティブファンドの選び方を説明していきます。
先にお伝えしますと、私が現在購入しているアクティブファンドは大和住銀 DC海外株式アクティブファンドです。
特段このファンドを推奨する訳ではありませんが、アクティブファンドの選択にあたり、下記の様なプロセスで選んでいます。
ファンドマネージャー
前述したとおり、私がアクティブファンドを選ぶ場合、重要視するのはファンドマネージャーです。
その人の経歴や運用哲学、自らの資金をファンドに投じているかを調べ、自分が納得できるファンドマネージャーが運用しているファンドをできるだけ選択します。
言い換えると、それが不明瞭なアクティブファンドへの投資はあまり積極的ではありません。
ファンドに投資するというよりも、ファンドマネージャーに投資するという感覚です。
※ファンドマネージャーが公表されていないという理由だけで選択肢から外すことはありませんが、優先度は下がります。
残念ながら国内投信の大半はファンドマネージャーを公表していません。
一方で、独立系はファンドマネージャーが顔出しし、様々な場面で情報発信をしていることが多いので、比較的透明性が高いです。
あとは、外資系も顔出ししているケースを割と見かけますね。
参考までに、比較的有名な独立系の運用会社をご紹介します。
これらの会社はファンドマネージャーの情報が公表されています。
- セゾン投信
- レオス・キャピタルワークス
- さわかみ投信
- スパークス・アセットマネジメント
- 鎌倉投信
- クローバー・アセットマネジメント
- コモンズ投信
- ありがとう投信
- ポートフォリア
ちなみに私が投資している大和住銀 DC海外株式アクティブファンドは、ホームページや目論見書を見てもファンドマネージャーは書かれていません。
言ってることとやってることが違うじゃないかと思われるかもしれませんが、実はこのファンド、三井住友DSアセットマネジメントの商品ですが、運用指図にかかる権限を米国のT. Rowe Price Associates Inc(以下T. Rowe Price社)に委任しています。
T. Rowe Price社には、このファンドと同様の運用をしているGlobal Stock Fund (PRGSX)というファンドがあります。
というよりも、大和住銀 DC海外株式アクティブファンドがPRGSXというファンドと同様の運用をしていると言った方が正しいですね。(ミラーファンド)
このPRGSXのファンドマネージャーが記事執筆時点でDavid J. Eiswert氏という方です。
そのため、大和住銀 DC海外株式アクティブファンドのファンドマネージャーは実質的にはDavid J. Eiswert氏ということになります。
運用期間
成績については、アクティブファンドは単年でものすごいパフォーマンスを出すことがありますが、それ以外の年は振るわないということもありますので、少なくとも5年、できれば10年以上は運用を続けているファンドの方が望ましいと思います。
ベンチマークと比較し、安定して成績が上回っているかを調べていき、絞り込んでいきます。
信託報酬
ファンド選びの際、インデックスファンドでは信託報酬の安さがが非常に重要な要素となります。
アクティブファンドでも信託報酬は安いものを選んだ方が良いのでしょうか。
当然安いに越したことはありませんが、個人的にはインデックスファンド程は重要視しません。
コストを掛けてリターンを狙いに行くのがアクティブファンドですので、ローコストのせいで成績が出せないならば本末転倒です。
それ相応の成績が出せているのであれば、ある程度のコストは致し方ないのではないでしょうか。
ホームページなんかを見てみるとファンドマネージャーさんが熱く語ってたりしますね!
アクティブファンドの活用方法
それではアクティブファンドはどの様に活用していくのが良いのでしょうか。
個人的にはNISAはインデックスファンドで埋め長期運用、特定口座で少量のアクティブファンドを購入し、中長期運用するコア・サテライト戦略を推奨したいと思います。
コア・サテライト戦略とは、ポートフォリオの中心となる「守りのコア」にリスクを取る「攻めのサテライト」を加えた投資戦略です。
一般的に「コア」に8割、「サテライト」に2割程度の割合で投資することが多いです。
コア・サテライト戦略については別の記事で解説しますが、ここではインデックスファンドで安定的な運用をしつつ、一部アクティブファンドを組み込んでリターンも狙っていく程度の認識で結構です。
私のインデックスファンドは長期~超長期の時間軸で運用していきます。
基本的に解約するのは定年以降の想定で、それまでは握り続けるつもりです。
その理由としては、枠の仕様にあります。
NISAは1,800万円までしか入金できませんが、運用する中で口座内の資金が1,800万円を超えるのは問題ありません。
例えば、NISAに入金した1,800万円が仮に2倍の3,600万円になったとした場合、1,800万円までしか入金できないNISA口座で3,600万円運用することができます。。
しかし、これで全額売却して1,800万円の枠を復活させ、再投資しようとしても、最大1,800万円までしか入金はできません。
残りの1,800万円は課税口座で運用するしかなくなってしまいます。
せっかく非課税口座で3,600万円運用できていたのに、売却することで、その恩恵を捨ててしまうことになります。
これは非常にもったいないです。
その様に考えると、NISA口座は一度入金した1,800万円は、取り崩す時が来るまで手放さず、長期間複利の恩恵を受け続けることが最もお得な使い方だと考えます。
そのため、ファンドマネージャーが交代しても比較影響が少なく、繰上償還しなさそうなインデックスファンドで埋めるのが良いのではないでしょうか。
NISAについて説明した記事もありますので、上記をより詳しく理解したい方はぜひ読んでみてください。
話を戻します。
アクティブファンドは、前述したように、ファンドマネージャー交代で手放したくなったり、成績が振るわず繰上償還となる可能性がインデックスファンドよりも高いと考えます。
そのため、NISAを使ってしまうと、枠を有効活用しきれません。
また、アクティブファンドはリターンを狙いに行く一方で、相応のリスクも抱えることになります。
成績が振るわず損切りを決断する場面が出るかもしれません。
その時、特定口座であれば、損益通算することもできます。
税金が掛かるのは痛いですが、アクティブファンドが抱えるリスクをヘッジするための手数料が税金と考えれば、納得できるのではないでしょうか。
インデックスファンドと合わせてどう使うかが大事なんですね。
なお、ここではNISAを全額埋める想定で話していますが、そもそも枠が埋まりきらないということであれば、NISAでアクティブファンドを買ってしまっても良いと思います。
アクティブファンドをポートフォリオのアクセントに
今回はアクティブファンドについて説明してきましたがいかがだったでしょうか。
アクティブファンド選びが非常に難しいことがお分かりいただけたかと思います。
やはりインデックスファンドを活用するのが王道と言えそうです。
しかし、インデックス投資至上主義の今の世の中、多くの人のポートフォリオはオルカンやS&P500など同じようなものばかりで、誰が投資してもあまり代り映えしません。
一方で、アクティブファンドは玉石混交ですが、様々な種類があり、選ばれる商品も人それぞれです。
「少し人と違うことをしてみたいな」と思ったあなたは、インデックスファンドを基本としつつ、自分の拘りのアクティブファンドをアクセントとしてポートフォリオに少しを入れてみてはいかがでしょうか。
自分なりの戦略でオリジナルポートフォリオを組んで、+αのリターンを狙って行くのも投資の醍醐味です。
許容できるリスクの範囲内で上手にアクティブファンドを活用してみましょう。
アクティブファンドだからって敬遠するのではなく、上手に活用できないか考えてみるのが大事なんですね!