2024年1月からついに新NISAが始まりますね。
様々な銘柄が対象になっていますが、結局何を買うのが良いのでしょうか?
どの様に考えて銘柄選択すれば良いのかわかりません…。
基本的にNISAは長期間投資をしていくことになります。
最大限の成果を得るために、初手で間違えないよう、多くの人が最適解を目指して考察しています。
投資の考え方は人それぞれですし、未来は分からないので正解というものはないというのが個人的な見解ですが、人の考えを知ることは、自分の投資判断のためにとても役立ちます。
そこで今回は、私が新NISAで何を買うことにしたのを、理由も踏まえて記事にしていきたいと思います。
自分で何を投資するのか考える際の参考になりそうです!
- 兎月が新NISAで何に対し投資するのか
- 銘柄選択に至るプロセス
私が買うのは○○
先に結論から述べますと、全世界株式インデックスファンドのeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)です。
王道ですが、これが結局一番いいのではないかという結論になりました。
それと、全世界株式アクティブファンドに少しだけ資金を入れています。
ただし、これは検証用として資金を入れているだけなので、特段推奨するものではありません。
今回の記事では、オルカンを選定したプロセスのみについて書いていきます。
投資対象の選定
まず、はじめに、どこの国に対して投資するかということから検討していきます。
なお、この記事では「長期・積立・分散」、「インデックス投資」、「株式投資信託」という前提で進めていきますので、そこの説明は割愛します。
下記の記事でそのあたりに触れているので、まだ読んでいない方は、こちらから先にお読みください。
NISAの投資対象を選ぶ際によく比較対象にされるのが、「全世界株式」、「米国株式」、「先進国株式」の3種ですが、私ならばこの中で、「全世界株式」を選択します。
早速ですが、下記のグラフをご覧ください。
このグラフは、1900年から現在に至るまでの世界の時価総額の比率を示したものです。
この記事を書いている2023年11月時点で、最新の資料から引用しています。
2023年現在、米国が全世界の時価総額の約6割を占めていることが分かりますが、それ以前も米国の存在感が圧倒的ですね。
長らく世界のリーダーとして君臨してきたことが分かります。
それならばわざわざ分散しないで米国株を買えばリターンが最もよいのでは?と思いますが、その通りです。
事実、直近数年を見ると、「全世界株式」、「米国株式」、「先進国株式」を対象としたファンドのうち、「米国株式」を対象にしたファンドが最もリターンが高いです。
この先も米国が世界を牽引していく存在であると考えるならば、「米国株式」を選択するのが正解と言えるでしょう。
しかし、このグラフをもう少し詳しく見ていきましょう。
今から約30年前、バブル真っ只中の1989年ですが、日本の時価総額が、米国の時価総額とほぼ変わらず、日本が存在感を示していたことがわかります。
そしてさらに時は遡り今から約120年前、1900年頃は米国の時価総額の割合は15%程度しかなく、英国がそれを上回る24%を占めていました。
かつて、世界経済の中心は米国ではなく、英国だったのです。
その頃は誰しもが、英国が世界の中心であり続けると思っていたことでしょう。
つまり、今でこそ米国が世界の中心であることを当たり前に受け入れていますが、この先、どうなるのかは誰にもわからないということです。
旧制度の積立NISAでは、非課税期間が最長20年でしたので、そのタイミングで売却することを考えると、長くても20年間成長し続ける投資先を選べば問題ありませんでした。
そのため私は、米国がこの先20年、世界の中心であることにbetし、積立NISAでは米国株1本しか購入していませんでした。
しかし、新NISAでは、非課税保有期間の無期限化したことにより、自身の年齢にもよりますが、20年以上保有し続けることも在りうるわけです。
このことから、旧NISAから新NISAへの制度変更にあたって、長期投資から超長期投資に視点を変える必要がありました。
今から20年後くらいならば、まだ米国1強でもおかしくないイメージがありますが、これが30年後、40年後と先になればなるほど未来は不確かになっていきます。
もし、新NISAの枠をすべて使い切った後に米国でない、次なるリーダーが生まれてしまった場合、米国株1本では恩恵がないため、すべて売却し、銘柄を乗り換える必要が出てきます。
しかし、新NISAは年間最大360万までしか購入できません。
つまり、枠を埋めきるためには、また5年間待たなければなりません。
これはかなりの機会損失です。
それであれば初めから幅広く全世界に対して投資しておけば、仮に米国が今の地位から転落したとしても、次なるリーダーに投資されますし、自分で調整しなくとも、ファンド側で米国株の比率を調整してくれます。
100点は決して取れませんが、安定して80点を取り続けることを考えるならば「米国株式」よりも、「全世界株式」に軍配があがります。
なお、選択肢に「先進国株式」もありましたが、これは個人的に中途半端と思っているので考慮せずに除外です。
「全世界株式」、「先進国株式」どちらも時価総額の大きい米国が大半を占めています。
その割合は、全世界株式は日本や新興国を含める中で約6割、一方で、先進国株式は日本や新興国を除外する中で約7割です。
日本や新興国を除外したうえで米国を7割も入れてしまうのであれば、もはや米国1本で良いのではないかというのが個人的な考えです。
また、その他にも「日本株式」、「新興国株式」の選択肢もありますが、これらも除外します。
「日本がこの先、米国に並ぶというビジョンが見えないこと」、「新興国の行く末が予想しきれないこと」が主な理由です。
それに、仮にこれらの予想が外れても、「全世界株式」を買っておけば「日本株式」も「新興国株式」も含まれていますし、比率もファンド側で調整してくれますので、反映までの時差は生じるものの、その時の世界の時価総額の比率に調整されたファンドを自動的に持ち続けることができます。
こういった理由から、私は「全世界株式」を投資対象とすることに決めました。
将来のことが分からないなら、全部に投資してしまえ!ということですね。
銘柄の選定
投資先を選んだので次は、具体的な銘柄選びです。
全世界株式の投資信託と言えばeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の知名度が圧倒的ですが、これ以外にも全世界株式を投資先とする銘柄は数多くあります。
そこでいくつかの銘柄を比べてみて、どれを選ぶのがベターか考えていきます。
さすがにすべての銘柄を確認するのは骨が折れるので、純資産額が30億以上のものをピックアップして比較していきます。
エントリーするのはこちらの銘柄です。
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド 『愛称:楽天・VT』
- 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド 『愛称:楽天・オールカントリー』
- SBI・全世界株式インデックス・ファンド 『愛称:雪だるま(全世界株式)』
- SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド 『愛称:SBI・V・全世界株式』
- たわらノーロード 全世界株式
※eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の姉妹ファンドとしてつみたて全世界株式という銘柄がありますが、対面販売を想定したつみたてんとうシリーズの中の1ファンドです。
対面の分、手数料が若干高くなりますが、運用はeMAXIS Slimシリーズと変わりませんのでここでは説明を省略します。
※楽天オルカンは設定されたばかりで純資産額が30億に達していませんが、記事執筆時点で29億のハイペースで資金が流入しているため、今回の対象に含めています。
実質コスト
銘柄選びにあたり、まず気にすべきことはコストです。
特にNISAでの運用は長期に渡りますので、積み重なるとかなりの額になります。
できるだけコストの低いものを選んでいきたいところです。
下記の表は、記事作成時点の各ファンドの目論見書や運用報告書の情報から作成した実質コストの一覧です。
名称 | 信託報酬 | コスト 隠れ | コスト ETF | コスト 実質 |
---|---|---|---|---|
eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー) | 0.05775% | 0.053% | 0.11075% | |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド 『愛称:楽天・VT』 | 0.132% | 0.025% | 0.06% | 0.217% |
楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド 『愛称:楽天・オールカントリー』※ | 0.05775% | ー | ー | ー |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド 『愛称:雪だるま(全世界株式)』 | 0.0682% | 0.013% | 0.042% | 0.1232% |
SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド 『愛称:SBI・V・全世界株式』 | 0.0638% | 0.029% | 0.07% | 0.1628% |
たわらノーロード 全世界株式 | 0.1133% | 0.12% | 0.2333% |
結果、オルカンが一番安い結果となりました。
たわらノーロードと比較すると倍近くの差がありますね。
今後も各社で信託報酬引下競争が続くかもしれませんが、現時点ではオルカンに軍配が上がっています。
オルカンを意識しているであろう楽天オルカンが今後どの程度コストを抑えてくるのかに注目です!
ベンチマーク
次に各ファンドが目標とするベンチマークを見ていきます。
名称 | ベンチマーク |
---|---|
eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー) | MSCI ACWI |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド 『愛称:楽天・VT』 | FTSE GACI |
楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド 『愛称:楽天・オールカントリー』 | MSCI ACWI |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド 『愛称:雪だるま(全世界株式)』 | FTSE GACI |
SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド 『愛称:SBI・V・全世界株式』 | FTSE GACI |
たわらノーロード 全世界株式 | MSCI ACWI |
オルカン、楽天オルカン、たわらノーロードがMSCI ACWI、楽天・VT、雪だるま(全世界株式)、SBI・V・全世界株式がFTSE GACIをベンチマークにしているようです。
そもそもこの2つのベンチマークですが、下記の様な違いがあります。
略称 | MSCI ACWI | FTSE GACI |
正式名称 | MSCI All Country World Index | FTSE Global All Cap Index |
構成国数 | 先進国23か国、新興国24か国 | 先進国25か国、新興国23か国 |
銘柄数 | 約3,000銘柄 (大型株、中型株) | 約9,000銘柄 (大型株、中型株、小型株) |
時価総額カバー率 | 約85% | 約98% |
この2つのベンチマークについては、どちらか優れているという程の優位性の差もないので、より広く分散したいかどうかという好みで選んでしまって良いと思います。
ただ、FTSE GACIをベンチマークとするファンドに投資する場合、約9,000銘柄と投資先が大きくなりすぎてしまうので、個々の株を購入するのではなく、ETFを購入して運用しているようです。
そのため、ETFに対する経費も間接的に負担しなければならないことは理解しておく必要があります。
FTSE GACIに投資しているファンドはMSCI ACWIに投資しているファンドと比べてETFの分、実質コストが若干高くなってしまうんですね。
ベンチマークとの差異
今回比較している6つのファンドは、ベンチマーク連動した運用を目指すパッシブ型です。
基本的な運用結果に大きな差はありませんが、それでもやはりファンド毎に多少の精度の差が出てきます。
そこで、各ファンドがいかにベンチマークから乖離せずに運用できているのかを比較していきます。
各ファンドの直近3年分の運用報告書からベンチマークとの差異を抽出したのが下記の表です。
なお、設定が最近のファンドについては確認できる範囲までしか記載していません。
名称 | 直近1年 | 直近2年 | 直近3年 |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー) | 0.3% | △0.2% | △0.1% |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド 『愛称:楽天・VT』 | △0.6% | △0.7% | △0.9% |
楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド 『愛称:楽天・オールカントリー』※ | ー | ー | ー |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド 『愛称:雪だるま(全世界株式)』 | 1.5% | △1.7% | 0.4% |
SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド 『愛称:SBI・V・全世界株式』 | △0.6% | ー | ー |
たわらノーロード 全世界株式 | △0.4% | △0.9% | △0.9% |
比較的最近設定された楽天・オールカントリーとSBI・V・全世界株式については記録がほとんどありません。
こうして並べてみると、オルカンが3年間通し、最も誤差が少ない結果となりました。
ここでもオルカンの圧倒的な優位性がありました。
ベンチマークとの乖離が小さいということは、それだけ精度の高い運用が出来ていると言うことですね。
楽天オルカンやSBI・V・全世界株式の今後の実績にも注目です。
結局はオルカンが無難
ここまでで新NISAで何を買うか検証してきましたが、結局のところ、定番のオルカンという結論に至りました。
何かダークホース的なものが出てくるのではないかと期待もしましたが、人気があるものにはやはりそれなりの理由があるものですね。
もちろんこの先、もっと良い商品が出てくる可能性もありますが、来るかわからないそれらを待っているのは機会損失でしかありません。
また、仮に新しいファンドが出てきても、eMAXIS Slimシリーズ自体、とことんコストを追求することを売りにしていますし、純資産額も増え続けてていることから、今よりさらにコストが減っていく可能性もあります。
このオルカンという投資信託は、インデックス投資においてきっと、この先も長く存在感を示し続けるファンドであるでしょう。
そう考えると、オルカンをこの先、新NISAで長期間運用していくという選択肢は、今できるものとしてはベストとは言えずとも、ベスト寄りのベターといえるのではないでしょうか。
今回、私が新NISAをどの様に運用する予定なのかを説明してきました。
他の人がどの様なプロセスで投資判断しているのかを知ることは、自身の投資判断において、参考になります。
今回の記事があなたの投資方針を決めるヒントになれば幸いです。
今回の記事を参考にしながら、自分なりの投資方針を考えてみます!