実体験からわかる!もらい事故の示談交渉はどうすればいい?

涼香

車を停めてたらぶつけられてしまいました…。

涼香

こういう時はどの様に対応したらいいのでしょうか?

涼香

示談交渉とか保険会社にお願いできるんでしょうか?

兎月

自分は悪くないのに事故に巻き込まれること、ありえますよね。

兎月

そんな時にはどの様に対応したら良いのでしょうか。

兎月

今回は、もらい事故の示談交渉について、体験談を交えながらお話していきます。

この記事でわかること
  • 事故発生時の対応について
  • もらい事故の示談交渉について
  • 弁護士特約の利用について
目次

保険会社が示談交渉してくれない!?

車を運転している方であれば、自動車保険に加入していると思います。
自動車保険に入っていると、万が一の時に、保険会社が自分の代わりに示談交渉してくれます。
相手と何を交渉すれば良いか何もわからない素人からすると、とても頼もしい存在です。

しかし、とある事故において、保険会社は示談交渉することができません。
保険会社が示談交渉できない事故とはずばり、「もらい事故」です。

もらい事故とは、自分に一切の過失がない0対10の事故のことです。
例えば、「駐車している車がぶつけられた」、「赤信号で停車中に衝突された」などが具体例として挙げられます。

こういったもらい事故の場合は、なんと自分で示談交渉しなければなりません。
つまり、素人がプロ集団である保険会社相手に交渉しなければならないのです。

涼香

保険に入っているのに助けてもらえないんですか!?

なぜ示談交渉できないのか?

なぜ、もらい事故の場合、保険会社は示談交渉してくれないのでしょうか。
その理由は弁護士法にあります。

第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

引用|eGov法令検索 弁護士法

簡単に言うと、「弁護士でない人は、報酬をもらって、他人の法律事務をやってはいけません。」ということです。

一方で、もらい事故ではなく、自分に一定の過失がある場合、保険会社は契約に基づき、自分の法律事務として示談交渉することになります。
つまり、当事者として示談交渉にあたるため、弁護士法に抵触しないということです。

涼香

理屈はわかりますが、被害者なのに助けてもらえないなんて…。

示談交渉やってみた

ここからは、私が、自分で示談交渉した実体験を交えながら、もらい事故の示談交渉のポイントをお話していきます。
特定を防ぐため、一部フェイクを入れてお話しますがご容赦ください。

愛車に傷がorz

ある休日、朝から近所に出かける予定があったため、車で行くことにしました。
私は車を運転する前に愛車の外観を軽く確認する習慣があります。
鳥の糞が落ちてないか、知らないうちに傷が出来ていないか等を確認するためです。
その日もいつもの様に軽く車のチェックをしました。
鳥の糞が落ちてましたが、それ以外は特段異常はないことを確認し、出発しました。

愛車に異常がないか、普段から確認する習慣をつけておきましょう。

目的地に到着したので、駐車場に車を停めて、用事を済ませにしばらく車から離れていました。
用事を終えて戻ってくると、愛車の近くで見知らぬ人が行ったり来たり。
何事かと思い、その人に話しかけてみると、「うちの車がそちらの車にぶつかってしまった」とのこと。
車を確認してみると、擦れた傷や歪みなどが無数に…。
テンションダウンしながらも、その方は誤魔化すことをせず、真摯に謝罪してくれたため、穏便に後処理をすることにしました。

まずしたことは、警察への連絡です。
最寄りの警察署に電話をし、事故の場所、時間、状況などを説明し、現場に来てもらう様に依頼します。

後々、交通事故証明書も必要になりますので、必ず警察に連絡する様にしましょう
道路交通法に、警察官が現場にいない場合は、最寄りの警察官に報告することが定められています。

第七十二条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。同項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置(第七十五条の二十三第一項及び第三項において「交通事故発生日時等」という。)を報告しなければならない。

引用|e-Gov 道路交通法

警察を待っている間、保険会社へ連絡します。
事故の状況を説明し、対応にあたっての注意点や、確認事項等のアドバイスを求めました。
事故の状況から0対10になること、保険会社としては示談交渉できないこと、示談交渉を行うにあたり、相手の連絡先や事故の状況がわかる記録を残しておくこと等のアドバイスをいただきました。

もらい事故の場合、保険会社は示談交渉できませんが、アドバイス等のサポートはしてくれます。
事故発生時は冷静さを失っている場合もあります。
せっかく契約しているのですから、必ず連絡し、助けてもらいましょう。

アドバイスに従い、警察が来るまで、加害者と状況の擦り合わせをすることにしました。
まず行ったのは、「事故の状況」、「損傷の箇所」の確認です。
この時、音声は録音し、損傷の写真も撮影しました。

示談交渉にあたっては、必ず事故の状況を示す証拠が必要となります。
当事者間で、出来るだけ早く事故の状況を確認し、とにかく記録を残しましょう。
後日、見落としていた損傷を発見した場合、それが事故によるものであることを証明するのは、一気に難しくなります。

なお、相手の車の状況も忘れずに記録しておいてください。
損傷と事故の因果関係を検証する際、相手の車の損傷が証拠になることがあります。

写真だけではなく、事故状況を証言する動画や音声なども重要な記録になります。
なお、駐車時等、自分が車から離れている時に起きた事故は、事故状況が確認しづらいですが、大きな衝撃が発生した際に、記録を開始してくれるドライブレコーダーを装備していると、重要な証拠になりますのでおすすめです。

状況が整理出来たら、連絡先の交換です。
双方の運転免許証を確認し、携帯電話の番号の交換を行いました。

自分から連絡することはあまりないかもしれませんが、必ず相手が誰なのか、どこに連絡すれば良いのかは控え、身元をはっきりさせておきましょう。
電話は実際に掛けてみて、身分証明書は写真を撮っておくようにした方が良いです。

そうしているうちに、警察の方が現場に到着しましたので、一緒に傷を見てもらいながら事故の状況を説明しました。
加害者に確認を促しながら説明することで、自分、相手、警察の三者間で認識を共有します。
最後に、警察の方から事故の発生日時、住所を控える様に言われ、立ち合いは終了しました。

警察の立ち合いにより、交通事故証明書が発行出来る様になります。
保険を利用する際に必要となるものですので、日時、住所、所管警察署くらいは控えておくようにしましょう。

今回、相手の方も誠意ある対応をしてくださったため、特段もめることはありませんでした。
先方の保険会社から後日、連絡があることを伝えられ、その日は解散することとなりました。
その後、すぐに付き合いのある整備工場に車を持ち込み、修理箇所の見積を依頼しました。

保険会社と示談交渉をすぐ進められる様、早めに修理費用の見積は出しておきましょう。
また、部品によっては、納品に時間が掛かることがあるため、早めに相談しておいた方が良いです。
かかりつけ医の様に、何かあった際、すぐに相談できる整備工場を普段から探しておくことをおすすめします。

ところで、この記事を見てくださっている方の中には、「やけに事故時の対応に手慣れているな。」と思った方がいるかもしれません。
褒められたことではありませんが、私が事故で自動車保険を使用するのは人生で2度目です。
1回目は加害者側でしたので、今回とは逆の立場でしたが、やることは同じです。
やはり1回経験していると、2回目は落ち着いて対応できます。
ただし、事故については慣れないに越したことはないと思いますが…。

アジャスターによる確認

事故から数日後、先方の保険会社より連絡があり、車の状況を確認したい旨の申し出がありました。
事故が起きた場合、保険会社はアジャスターと呼ばれる専門家を派遣し、事故状況や修理箇所を確認し、支払う保険金が妥当性を調べます。
なお、軽微な損傷や事故の場合、アジャスターを派遣せず、写真と見積だけで、保険金を支払うケースもあるようです。

今回は、加害者と傷の確認も済んでおり、事故によることが見るからに明らかでしたが、それなりの損傷でしたので、保険会社としては確認もせず保険金を支払うわけにはいかないことは理解できます。
すぐさま了承し、整備工場の担当者を伝え、調整していただくように依頼しました。

因果関係なし

アジャスターが整備工場を訪問し、状況を確認してからしばらくして、保険会社より連絡が入りました。
保険金の支払いが決定したのかと思って電話に出てみると、思わぬことを告げられます。

「基本的には保険金をお支払いしますが、○○の損傷は事故との因果関係が認められませんでしたので、お支払いできません。」

この時はびっくりしました。
加害者の男性も警察も、整備工場も事故による損傷だと認識しており、見て明らかなのにも関わらず、先方の保険会社には認めてもらえなかったのです。

さすがに納得いかない旨を伝え、その結論に至った理由の説明と、再検討を依頼しました。
別の担当者から連絡する旨を伝えられ、その日は終わりました。

放置プレイ

衝撃の報告からそれなりの日数が経過しましたが、待てども連絡は来ません。
流石におかしいと思い、保険会社に連絡し、ようやく新しい担当者と話すことが出来ました。

ところがなんと、「結論に変わりはありません」」の一言でバッサリ。
連絡がなかった謝罪も、詳しい理由の説明もなく、「弊社として認められませんでしたので」の一点張りです。

そこで、こちらから証拠を追加提出するので、再検討をする様、求めました。
事故状況の写真等は、加害者から保険会社に提出してもらっていたので、何か不足しているものがあるのではないかと思ったためです。
立会時に集めた画像や音声、ドライブレコーダーの映像等の証拠に、自身の私見を添えて、保険会社に提出することにしました。

自動車事故において物的損害を受けた場合、実は、被害者が相手側の過失を立証しなければなりません。
これを立証責任と言います。

今回は、被害者である私が、相手方の過失で車が破損したこと証明しなければならないのです。
理不尽な気がしますが、そういうものなので仕方がありません。

さすがにこれで終わるだろうと思っていました。
この時までは…。

続・放置プレイ

証拠と提出してしばらく経ちますが、相変わらず返答がありません。
こちらから連絡をするも、のらりくらり誤魔化され、話は平行線です。

そんなことが何度も続く中で、さすがにこう思う様になりました。
素人だからと完全に舐められているのではないかと。

こちらは後ろ盾がない素人が孤軍奮闘する一方で、相手方は知識や経験が豊富なプロ集団です。
いうなれば象と蟻が戦っているような状況です。
相手からすれば、私はなんの脅威でもないでしょう。

事故発生時の対応は十分であったと思いますし、事故による損傷であることは見て明らかなうえ、証拠もしっかり残していたため、ここまで話がこじれるとは正直思っていませんでした。
良い経験にもなるのでと軽い気持ちで示談交渉を進めていましたが、こういう対応をされてはどうしようもありません。
そこで、私は自身が契約している保険会社にある相談をすることにしました。

権威で対抗

私が保険会社に相談したのは、弁護士特約の利用についてです。

弁護士特約とは、自動車事故や日常生活の事故等で被害を受け、賠償請求を弁護士に委任する場合、その弁護士費用等が補償される特約です。
どこの保険会社でも、300万円まで保障してくれるケースが一般的だと思います。

自動車保険を使うと、等級が下がることを気にする方は多いと思いますが、なんとこの弁護士特約は等級が下がりません
せっかくつけている特約ですし、保険料にも影響がないため、弁護士の権威を借りて徹底抗戦することに決めました。

保険会社にこれまでの経緯を説明し、弁護士特約の利用の了承を得ました。

注意しなければならないのは、勝手に弁護士を立てて、あとから特約を使うというのはNGです。
必ず、保険会社の了承を取ってから依頼する様にしましょう。

弁護士への依頼

弁護士特約利用の了承が得られたため、依頼する弁護士探しを始めました。
弁護士を立てるのは人生で初体験です。
自動車事故の実績があり、自宅や職場からアクセスしやすい立地であることにフォーカスを当て、弁護士探しをしました。
正式な依頼前に、電話で簡易的な事前相談を受けてくれる事務所もありましたので、お話をしてみて、良い感触であった事務所に依頼することにしました。

正式な依頼が決まったら、今までの証拠(画像、音声、動画、保険会社とのやり取り等)をすべて弁護士に提供しました。
その結果、保険会社がアジャスターを派遣した様に、こちらも調査会社に委託して、事故の検証することにしました。

調査会社の立ち合い

弁護士経由で調査会社に委託をしてもらい、実際に車を見に来てもらいました。
事故当時の状況を説明し、色々な箇所を計ったり、写真を取ったりしながら、傷と事故の因果関係を検証してもらいました。
確認の結果、絶対的な断定はできないが、事故と傷の因果関係は認められるとのことでした。

今後の流れとしては、弁護士に確認結果を報告し、先方の保険会社へ提出する意見書を作成する様です。
これで、こちらも専門家による意見書という、強力な武器を得られた訳です。
なお、この費用も弁護士特約の範囲内ですので、自己負担額0円です。

ところで作業中お話を聞いてみると、アジャスターには保険会社の社員と、外部委託の2パターンがいるそうで、保険会社で経験を積んで、転職する方がそれなりにいるそうです。
今回来てくださった方も、かつて保険会社でアジャスターをしていたそうです。

最終決戦

調査会社の立ち合いからしばらく経過し、弁護士から意見書を提出する旨の連絡を受けました。
弁護士という鎧に、意見書という剣を掲げて魔王である保険会社に再度戦いを挑む時が来たのです。
その結果はいかに…?
























結論としては完全勝利でした。
すべて事故による損傷と認め、修理費用を支払うという結末になりました。
あれだけ苦戦していたにも示談交渉が、弁護士に依頼したらあっさりと終わりを迎えたのです。
やっぱりプロはすごい…。

涼香

自分で全部やるのも限界がありそうですね…。

結論:示談交渉はプロに任せましょう

もらい事故の示談交渉について、私の実体験を踏まえてお話してきましたが、いかがだったでしょうか。

今回のケースですが、相手方の担当者に恵まれなかったのが大きいと思っており、特段相手の保険会社を否定するつもりはありませんが、やはりそれでも個人の立場の弱さを実感しました。
個人で組織と対等に戦うのは難しいです。

この様なケースの場合、弁護士特約は非常に有用な補償でした。
私の様に自分でやろうとすると、無駄な時間を過ごすことにもなりかねないので、よっぽどのもの好きでもない限り、代理人を立てるのがおすすめです。
せっかくお金を払っている保険です。
こういう時こそ、有効活用しましょう。

ただし、弁護士に依頼する前段として、事故発生時の対応は完璧に行えるようにしておいてください。
初めての事故では混乱している可能性が高いです。
そんな時は、自分が契約している保険会社にアドバイスを求めましょう
冷静かつ適切に何をしなければならないのか教えてくれます。
事故発生時にやらなければならないことをまとめたToDoリストを、グローブボックス等に入れておくのもおすすめです。

この記事を見ている方の中には、示談交渉に困っている、弁護士特約についてもう少し詳しく知りたいという方もいるかもしれません。
自分の実体験を踏まえながらご相談にも乗ることも可能ですので、ぜひお問い合わせフォームからご連絡ください。

涼香

事故が起きたときの対応を確認しておく!示談交渉はプロを頼る!今回の大切なポイントですね!

兎月

もう自分ではやりたくないですね…。

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