Vtuberとしての活動にも興味あるけど…防音室はどう選んだら良いんでしょう?
自宅で気軽に配信できる世の中になりましたが、質の良い配信には防音室が必要不可欠です
我が家には元声優がいるので、FPの観点から防音室選びを考えてみます
自宅での収録が当たり前の時代に
一昔前に比べ、様々なプラットフォームが充実し、自宅で音声を収録したり、配信したりするのが当たり前の時代となっています。
そんな中、クオリティの高い音声を収録するためには、防音室が必要不可欠です。
今回は、ライフプランに焦点をあて、どの様な防音室を選ぶべきか解説していきます。
防音室の大まかな種類
ここでは、防音室を大まかに4種類に分類してみます。
なお、だんぼっちの様な超簡易なものは除外しています。
種類 | 特徴 | 価格 | 製品例 |
---|---|---|---|
組立式 (簡易) | 程々の価格 自分で組立可 性能程々 | 20万~ | 宮地楽器「VERY-Q」 ピアリビング「おてがるーむ」 |
組立式 | 十分な性能 中古需要高い 価格が高い | 70万~ | ヤマハ「アビテックス」 カワイ「ナサール」 |
DIY | 撤去しやすい 予算を調整しやすい 技術による差が大きい | 数万~ | オーダーメイド |
防音工事 | 最高の環境 価格が青天井 撤去が困難 | 200万~ | オーダーメイド |
ライフプランから見た防音室の選び方
各防音室の特徴が分かったところで、ライフプランの観点から、防音室選びを考えていきます。
考えるポイントは下記3つです。
- 賃貸か持家か
- 引越しはするか
- どの程度の性能を求めるか
それぞれについて見ていきましょう。
賃貸か持家か
前提条件ですが、賃貸か持家かは重要なポイントです。
持家であれば何でも可能ですので、防音室を作っても良いし、床が補強されていればアビテックス等を入れても問題ありません。
しかし、賃貸となると話は変わってきます。
例えばですが、アビテックス セフィーネNS 0.8畳を賃貸アパートに入れたいと仮定してみましょう。
建築基準法では、基本的に床の耐荷重は183kg/㎡と定められています。
これはつまり、1㎡あたり、183kgのものを置いても耐えられる床にしなさいねということです。
あくまで床が抜けない様にということで、たわみまで耐えることも求めるものではありません。
さて、例に出したアビテックスですが、仕様書を見てみると、床面積は1.44㎡で292kgで、平米換算すると、約203Kg/㎡です。
つまり、実際起こりうるかは置いておいて、建築基準法だけで考えると、一般的な建物ではアビテックスを置いて床が抜けてしまう可能性も0ではないということです。
そう考えると、勝手に防音室を置くわけにもいかないので、大家さんの許可が必要になってきますが、一般的には大家さんも防音室を入れることを想定して建物を作っているわけではないので、断られるケースも多々出てきます。
そうなると、選べる物件が少なくなりますし、鉄筋コンクリート造等の家賃が高めの建物になりがちです。
それが嫌だからと言って大家さんに無断で入れることは推奨しません。
退去時に床のたわみが確認されてトラブルになったり等が想定されるためです。
また、後程改めて説明しますが、賃貸の場合は引っ越しに掛かる手間とコストも考えなければなりません。
この様に考えると、賃貸で取れる一般的な選択肢は、簡易な組立式かDIY、または初めから防音室がついている物件を借りるということになります。
DIYする場合は、退去時に現状復帰しなければならないので、そこだけは注意してください。
なお、私が以前アパートを借りて住んでいた時、大家さんにVERY-Qを入れて大丈夫か確認したことがありますが、70Kg程度のため、問題なく入れることができました。
賃貸だとできることに制限が出てしまいますね
引っ越しはするか
前の項でも少し触れましたが、引っ越しの有無もポイントです。
アビテックスの様な組立式は自分で設置・解体できないので、業者へ頼む必要があり、移設のハードルが高めです。
防音室の大きさや建物の階数、移動距離等で価格は変動しますが、解体して運搬し、引っ越し先で再度組立、エアコン設置工事等を行うと、なんだかんだで20~30万程度は少なくとも見積もっておいた方が良いようです。
引っ越すたびに数十万余計に掛かるのはなかなか痛い出費ですので、頻繁に引っ越しが発生するうちは、組立式を設置するのは金銭的な面であまり推奨できません。
そうすると、引っ越しの可能性がある場合も賃貸の場合と同様に、簡易型の組立式、DIY、防音室付きの物件を選択するのがベターな選択になります。
引越しのことを考えるとなかなか大きくて重いものは置けませんね
どの程度の性能を求めるか
前の項で賃貸物件や引っ越し予定がある場合、組立式は推奨しないと述べましたが、結局最終的にはどれ程の性能が必要かになります。
防音室を購入する人は千差万別で、ただ趣味のためにほしい人もいれば、仕事のために必要な人もいます。
仕事で使用するため長時間室内にいなければならず、エアコンや換気扇が必須であったり、音漏れをまったく気にせず使う環境でなければならないのであれば、賃貸で引っ越しをする予定があったとしても、設置可能な物件を借り、しっかりしたものを購入せざるを得ません。
できることは、税理士と相談し、適切に経費に計上し、少しでも所得を減らし、負担を軽減することです。
しかし、趣味の延長であったり、仕事でもほどほどの性能があれば事足りるならば、賃貸・引越について考慮しなくてよくなるまでは簡易なものを推奨します。
なお、私の家族は、家での収録は趣味メイン、時々ちょっとした仕事程度の利用で、ちゃんとした収録の時はスタジオに行っていましたので、アビテックス程のスペックはなくとも実務上は問題ありませんでした。
そこで総合的に考えた結果、ひとまずVERY-Q程度があれば十分と判断し、購入しました。
クリエイターにとってどこまでいいものを揃えるかは常に悩みのタネです。。。
我が家の実例
上記を踏まえ、我が家の防音室購入プランを実例としてご紹介します。
当記事執筆時現在(令和5年9月)、保有しているのはVERY-Qです。
確か購入したのは平成27年頃で、約30万程度で購入した記憶があります。
その時はアパートに住んでいましたので、①大家の了承を確実に取れること、②引っ越し時に負担が少ないこと、③程々の防音機能があることの3つを要件としてこの商品を選択しました。
利用目的は趣味+仕事少々のため、実務上はそこまでハイスペックな防音室は不要ですが、日々の生活を楽しく快適に過ごすため、最終的にはアビテックスにすることを考えていましたので、それまでのつなぎとしての位置づけです。
その後、家を建てることになりましたが、もう引っ越しをする可能性がほとんど0になりましたので、将来的に防音室をVERY-Qからアビテックス等に切り替えた時のことを想定し、床の耐荷重について、建築士と相談しながら家の設計をしていきました。
家が完成した後、引っ越しをすることになりますが、引っ越し先がそこまで遠いわけではなかったため、VERY-Qを自力で解体し、知り合いの軽トラを借りて自力運搬をしました。
掛った費用は軽トラの御礼の菓子折り3,000円です。
引っ越した後も、いまだにVERY-Qを使用しています。
それは間取り変更が数年以内に発生する予定のため、まだ動かしやすいVERY-Qの方が都合が良いからです。
リフォームが終わったら、折りを見て、アビテックス(もしくはそれに類する製品)に入れ替えることを検討しています。
もう動かすことはないと思うので、完全に場所固定です。
なお、アビテックス購入費用はVERY-Q購入時から月1万程度の積立・運用をしていました。
ちょうど市場も右肩上がりだったため、比較的良い利回りで運用でき、少ない元手で買換費用を工面できました。
仮に、初めからアビテックスを購入していた場合、家賃高めの物件を選んだり、余計な引っ越し費用が発生したり等、トータルコストは大きくなっていたはずですし、運用に回す分の現金も減ってしまうため、運用による収益が小さくなってしまったはずです。
防音室の様に大き目の買い物をする際は、数年後のライフプランも見越して計画すると、手間だけでなく、資金的にもゆとりが生まれます。
組立式か工事か
ハイスペックな防音室が自宅にほしいとなると、最終的にはアビテックスの様な組立式か、防音工事を行うかの2択になります。
はたしてどちらが良いのでしょうか。
正直、個人の考え方次第だと思いますが、個人的には組立式に軍配が上がると思います。
組立式の防音室は部屋の中にもう一つ部屋を作ることになるのに対し、工事による防音室は部屋そのものが防音化されるため、広くて快適に使用できます。
しかし、もし防音室が不要になる時が来た場合、どうでしょうか。
工事による防音室は、防音のため壁や天井、床が厚くなるため、本来のその部屋よりも狭くなります。
防音室として使用しないならば、他の部屋に比べて狭く、使い勝手の悪い部屋になってしまいます。
部屋を元通りに工事するにしても、再び多額のお金が掛かります。
一方、組立式は、解体すれば部屋はもとのまま使用できますし、防音室はリセールバリューが比較的高いので、よっぽど古いものでない限り、いくらかの値がつく可能性が高いです。
購入コストだけでなく、手離れの良さや原状復帰コストを考えると、総合的に組立型に利があると考えます。
それでも家に一部屋防音室があるのはロマン…
まとめ
ここまで、ライフプランを考慮するという通常と少し違う切り口で防音室の選び方を述べてきましたがいかがだったでしょうか。
宅録する方には防音室は必要なツールではありますが、なかなか気軽に買えるものでもありません。
性能だけで判断せず、コストやタイミング等、総合的に考えて購入できるのが望ましいです。
自分にとって満足のいく防音室を買って、良い宅録生活をお送りください!
多面的に考えることが大切です!