クリエイターとしてフリーランスでやっていきたいけど年金が不安…。
だけどリスクはできりだけ避けたい…。
そんな人向けの良い方法は何かないでしょうか?
その様な人におすすめしたいのは国民年金基金です。
個人事業主向けの制度で、公的制度なのでリスクも低いです。
そんな国民年金基金について今回は説明していきます。
- 国民年金基金の制度概要
- 注意点
- 費用対効果
フリーランスの年金は1階建て
以前、別記事でフリーランスの年金額について解説したことがありました。
詳細はリンク先の記事を見ていただきたいのですが、一般的な会社員は基礎年金+厚生年金(+企業年金)の2(3)階建てなのに対し、フリーランスは基礎年金のみの1階建てであり、とてもですが老後生活できる金額を受け取ることはできません。
そのため、クリエイターとしてフリーランスでやっていくならば、何かしらの方法で自ら2階部分を積み立て、老後資金を用意する必要があります。
数ある方法の1つとして有名なものに、国民年金基金があります。
今回はこの国民年金基金について解説していきます。
2階部分がないって結構辛いですね…。
フリーランス向けの年金制度
国民年金基金の加入要件は下記です。
- 国民年金の第1号被保険者の方
- 60歳以上65歳未満の方や海外居住者で国民年金に任意加入している方
国民年金の第1号被保険者向けということで、まさにフリーランスのクリエイター向けの制度です。
会社員(第2号被保険者)やその扶養に入っている配偶者(第3号被保険者)は加入することができません。
要件にぴったりですね!
制度概要
それでは国民年金基金の制度概要を見ていきます。
国民年金基金は、大きく分けると、終身年金と確定年金の2種類があります。
さらに細かく分けると、終身年金はA型とB型の2種類、確定年金はⅠ~Ⅴ型の5種類、計7種類の年金があります。
年金種別 | 型 | 支給年齢 | 保証期間 |
---|---|---|---|
終身年金 | A型 | 65歳~終身 | 15年 |
B型 | 65歳~終身 | ー | |
確定年金 | Ⅰ型 | 65~80歳 | 15年 |
Ⅱ型 | 65~75歳 | 10年 | |
Ⅲ型 | 60~75歳 | 15年 | |
Ⅳ型 | 60~70歳 | 10年 | |
Ⅴ型 | 60~65歳 | 5年 |
終身年金はその名のとおり、生涯受け取ることができます。
一方で確定年金は、支給される期間が確定しています。
B型以外の年金には保証期間が定められていますが、年金受給前〜保証期間中に本人が亡くなった場合に、 掛金納付期間等に応じた遺族一時金を受け取ることができます。
当然ですが、支給年齢や保証期間が長い型の方が掛金は高くなります。
国民年金基金は、「口単位」で加入します。
そして必ず1口目は終身年金を選択しなければなりません。
A型、B型は問いません。
2口目以降は、7種類の年金のうち、自由に組み合わせることができ、掛金合計68,000円/月を上限に加入することができます。
※国民年金基金とiDeCoは併用することができますが掛金の合計が68,000円を超えない様にしなければなりません。
なお、掛金の金額は、口数を変更しない限り、加入時から変わりません。
さらに、掛金は全額社会保険料控除となりますので、課税所得を小さくすることで、節税効果もあります。
種類がたくさんあって悩んじゃいそう…。
注意点
任意脱退は不可
国民年金基金で注意しなければならないことの一つとして、途中脱退ができないということがあります。
フリーランスから会社員に転職するなど、第1号保険者以外になった場合は、加入要件喪失により脱退できますが、それ以外ではやめることができません。
また、脱退しても60歳や65歳等、年金が受給できる年齢になるまで受け取ることができません。
もし、掛金を支払うのが難しくなってきた場合は、口数を減らしたり、納付を中断することで対応可能です。
ただし、未納期間に応じ、受給額は減額されますので注意してください。
インフレに弱い
国民年金基金は、将来の受給額が決まっているのでわかりやすい一方、インフレに弱いです。
30年後の1万円と今日の1万円の価値は違います。
インフレが進んでいけば、お金の価値は相対的に下がっていきますので、将来もらえる年金の価値が今よりも低いということが十分に考えられます。
やめたくてもやめられないのは少し抵抗がありますね。
年金額シミュレーション
全国国民年金基金のホームページで、年金額シミュレーションを行うことができます。
今回は参考までに下記の2パターンの条件でシミュレーションしてみます。
- 30歳で加入
- 男性
- 掛金上限額までA型またはB型で申し込み
- 課税所得400万円
項目 | A型 | B型 |
---|---|---|
掛金(合計) | 67,925円 | 66,500円 |
掛金(1口目) | 10,450円 | 9,500円 |
掛金(2口目以降) | 5,225円×11口 | 4,750円×12口 |
掛金総額(30~60歳) | 24,453,000円 | 23,940,000円 |
税軽減額累計(30~60歳) | 7,438,590円 | 7,282,530円 |
実質掛金総額(30~60歳) | 17,014,410円 | 16,657,470円 |
累計年金額(65~85歳) | 31,200,000円 | 33,600,000円 |
利益 | 14,185,590円 | 16,942,530円 |
トータルリターン | 183.3% | 201.7% |
掛金上限額まで終身年金に加入し、30年間掛金を払い続けると、85歳までにもらえる年金額は税負担を軽減した実質的な掛金総額の2倍前後になるようです。
B型の方がリターンが大きいのは、保証期間がない分、割安になるためです。
税の軽減額が結構大きくてびっくりしました!
堅実に2階部分を積み立てたい人におすすめ
今回は国民年金基金について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
国民年金基金はiDeCoと異なり、給付額が決まっている確定給付年金です。
自身で運用する必要が無く、将来もらえる金額が決まっているので、堅実に年金を用意したいという方にはおすすめできる制度です。
しかし、利回りが高い訳ではないので、インフレリスクを考えると、これだけでは物足りないというのが個人的な考えです。
とは言っても、フリーランスのクリエイターにとっては、有効な資産形成の手段の一つですので、他の方法と組み合わせながら有効活用できると良いですね。
iDeCoと併用しながら使ってみるのもいいかもしれませんね。