NISAはどう使う?おすすめの使い方を解説!

涼香

「とりあえず生!」みたいな感じで「とりあえずNISA!」な風潮がありますが…そもそもNISAってどういう制度なんでしょうか?

涼香

どの様に運用していくのがいいのかよくわからないです。。。

兎月

国が推進しているだけあって、NISAの知名度は高く、とりあえず始めてみたという方は結構いるようです。

兎月

しかし、制度についてはあまりわかっておらず、有効活用できていない方もいるようです。

兎月

今回は、NISAの概要や活用方法について触れていきます。

兎月

なお、NISAは2024年から新制度になりますので、本記事では断りがない限りは、基本的に新制度について説明します。

目次

NISAとは?

運用益が非課税

通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。
NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。
イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISAとして、NISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)という愛称がついています。

出典:NISAとは|金融庁ウェブサイト (https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html)

金融庁のホームページにも説明がありますが、本来、株式投資や投資信託で得た利益は、20%(復興特別所得税を含めると20.315%)の税金が掛かります。
つまり、仮に100万円の利益を得たとしても、税金で約20万円引かれ、約80万円しか手元に残りません。
20%ってかなり大きいですよね…。

ところがNISAを活用して利益を得た場合、なんと、この税金が掛かりません!
100万円の利益が出たら、100万円全額が手元に残ります。
しかも、期限はなく、恒久的に活用できます。
何かと税金を持っていきがちな国が推進しているとは思えないほど太っ腹な制度です。

2つの投資枠

出典:新しいNISA|金融庁ウェブサイト (https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html)

NISAには2つの投資枠があります。
年間120万円まで投資できるつみたて投資枠と、年間240万円まで投資できる成長投資枠です。
それぞれの枠で買えるものは枠名のイメージどおりで良いですが、成長投資枠でも積立に適する商品も購入できます。
それぞれ併用することが可能で、生涯で総額1,800万円まで投資できます。(ただし、うち成長枠は1,200万円が限度)

しかも、この枠は、再利用することができます。
極端な例ですが、上限額360万円を毎年投資した場合、5年で1,800万円を使い切ることになり、6年目からは追加で購入することができません。
しかし、5年目にすべて売却した場合、6年目には1,800万円の枠が空きますので、引き続き、年間360万円投資できるようになります。

これらの特徴により、個人投資家にとってかなり融通の利く、使いやすい制度となっています。

NISAが生まれた経緯

興味のない方は読み飛ばしていただいて構いませんが、ここで少しNISAが生まれた経緯をお話します。

かつて、株式等で得た利益に対する税金が10%になる軽減税率制度がありました。
しかし、この制度自体は時限性でしたので、制度廃止に伴う緩和措置としてNISAは当初想定されていました。

ところが、2012 年 7 月に閣議決定された「日本再生戦略」では、「分散投資の促進等による普及・拡充や国内外の資産への長期・分散投資による資産形成の機会を幅広い家計に提供する観点から日本版 ISA について所要の検討を行い、自助努力に基づく資産形成を支援・促進し、家計からの成長マネーの供給拡大を図る。(引用:日本再生戦略~フロンティアを拓き、「共創の国」へ~|内閣官房ホームページ)」とされ、10%税率引上げの緩和措置から個人の資産形成のための制度へと方針が変わりました。

その後、紆余曲折ありながら、「新しい資本主義」を掲げる岸田政権の下、2024年からNISAが拡充・恒久化され、個人の資産形成を後押しすることになります。

こういった経緯で国が推進しており、その結果、幅広く周知されています。

NISAの活用方法

NISAの全体像が分かったところで、個人的に良いと思うNISAの活用方法についてご説明します。
ただし、ここでご紹介するの私の考えであり、必ず利益が得られることを保障するものではありません。
あくまで、今後の投資方法を考えるうえでの参考としてください

基本は長期・積立・分散

王道の投資方法となりますが、基本的には長期・積立・分散を意識した運用で良いと思います。
NISAの仕組み上、長期・積立・分散投資との相性が良く、金融庁も推奨しています。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(通称:オルカン)の様な、全世界の株式に投資するインデックス型の投資信託を一本買い、コツコツと時間を掛けて積み立てていけば、まずますの成果が得られるのではないでしょうか。

積立額は無理しない

最速でNISAの枠を使い切ろうとすると、年360万円×5年で達成できます。
多くの方が2024年から始まるこのNISAを最も効率よく利用できるか検証しており、可能な限り最速で枠を使い切るべきという意見が多い様に感じられます。
世界経済は右上がりに成長し続けるという前提の下だと、多少の上下のブレはあれど、今買うのが一番安いという理屈になりますので、出来る限り早くはじめ、長く運用するべきという考えは合理性があり、正しいと言えます。
投資上級者の方は、基本的にこの考えで良いかと思います。

しかし、NISAの枠を使い切るために日々の生活に無理が生じてしまっては本末転倒です。
投資初心者の方は、自分が無理なく積み立てられる範囲で投資していくべきです。
さらに、目一杯積立に回すのではなく、多少の余剰資金を持っておくことを個人的には推奨します。

実際には経済は右肩上がりであり続けることはなく、リーマンショックの様な大暴落が定期的に発生します。
頑張って日々節約し、出来る限り最大の額を積み立てていく中で、大暴落が起きた場合はどうしましょう。
やがて元に戻ると頭では考えていても、目の前でお金が溶けていくをの見て、感情的に耐えられない方もいるのではないでしょうか。
私たちは人間ですので、理屈ではわかっていても感情が追い付かないというのは致し方ないものです。
もし、積み立てられる金額目一杯の場合、精神的ダメージがかなり大きいと思いますが、余剰資金を残している場合、
多少は心理的負担が軽減できるのではないでしょうか。

ところでこの大暴落ですが、ポジティブに考えるとバーゲンセールともいえます。
私からすると、精神的ダメージどころか、テンションMAXになる場面です。
せっかくの買い時なのに、「枠を使い切ってしまっていて追加購入できない」「余剰資金がなくて購入できない」というのはもったいないです。
大暴落時にスポットで追加購入することで、定額で積み立てていくよりも、平均取得額を下げることができます。
そのため、個人的には枠を少し残しつつ、スポット買いできるだけの資金を残しておくという運用をおすすめしたいと思います。
投資の唯一の必勝法は「安い時に買い、高い時に売る」です!

個別株なら配当・優待狙いの長期保有を

基本的には上記のように、投資信託を積み立てるだけで良いと思いますが、それだけでは物足りず、もう少しスパイスがほしいのであれば、成長投資枠で、個別株を購入するのも良いと思います。
この際に買うのは、短中期で保有するものではなく、長期間保有し続けるものが個人的にはおすすめです。
配当や優待狙いといったインカムゲイン目的のものが良いのではないでしょうか。

逆に、短中期で売買差益を狙うキャピタルゲインを目的とする場合、特定口座を活用したほうが良いと個人的には思います。
制度概要で説明したとおり、非課税枠は売却することで再利用できますが、枠が復活するのは翌年です。
成長投資枠は240万円しかありませんので、短中期で利用すると、わりとすぐに枠を使い切ってしまいます。
さらに、NISAの欠点として、損益通算繰越控除が使えないというものがあります。

損益通算とは、同じ年の利益と損失を相殺することです。
例えば、A社の株で100万円の利益を得たが、B社の株で50万円の損をした場合、この年の利益は差引50万円となるため、50万円に対して、税金が掛かります。

繰越控除とは、翌年以降最大3年間、損失を繰り越すことができる制度です。
例えば今年A社の株で50万円の損失を出したためこれを繰越し、翌年B社の株で100万円の利益を得た場合、翌年の利益は差引50万円に対して税金が掛かります。

例えばですが、今年、240万円分の株AをNISAで購入したところ、120万円まで株価が下がってしまったため、売却し、損切りしたとします。(-120万円)
一方で、今年のNISAの非課税枠はすでに使い切ってしまったので、特定口座で株Bを100万円購入したところ、200万まで株価が上がったため、利益確定したとします。(+100万円)
トータルでみると、この年の収支は-20万円です。

しかし、NISA口座と特定口座は損益通算できません。
そのため、NISAを使わず特定口座でのみ運用していれば、利益0で税金が掛からなかったはずなのに、NISAを使っていたがために、今年は特定口座で得た利益100万円に対し、税金が掛かってしまいます。

さらに、NISAを使わずに特定口座でのみ運用していれば、損益通算してなお残っている損失-20万円を確定申告で繰越控除することできました。
しかし、NISAでは繰越控除は使えませんので、ただ120万円損しただけになってしまいます。

枠を使いきるならバランス型を使わない

NISAの対象銘柄には、株式だけでなく、債券といったほかの資産にも投資するバランス型投信というものがあります。
資産が潤沢にある方がNISAを利用する場合、バランス型投信はもったいないというのが個人的な所見です。

年齢を重ねる毎に取れるリスクは小さくなっていきますので、資産に株式以外を含めることは戦略としては間違っていません。
しかし、バランス型投信というのは、株式型投信に比べ、リスクをコントロールしているため、ブレ幅が小さくなります。
つまりその分、利回りは株式投信よりも控えめになります。

NISAのメリットは、利益に対して税金が掛からないことです。
そのため、ブレ幅が小さくなるバランス型よりも、ブレ幅が大きい株式型で利益を取っていった方が、NISAの恩恵を最大限に受けることができます。
具体例を見ていきましょう。

720万円で株式:債券=1:1の比率になるように投資信託を購入したい。
NISAを活用し、どの様に運用するのが一番利益を得られるか。
ファンドA(株式)=年利5%
ファンドB(債券)=年利2.5%(※債券ファンドはNISAで購入できません)
ファンドC(株式:債券=1:1)=年利3.75%(※A+Bの平均)

ファンドAを360万円NISAで運用し、ファンドBを360万円特定口座で運用した場合、ファンドAは18万円、ファンドBは9万円の利益を得る。
ファンドAはNISAで運用しているため税金は掛からず18万円全額得られるが、ファンドBは20%の税金が掛かるため、得られる利益は7.2万円(※計算を簡略化するため、復興特別所得税は考慮しない)となる。
つまり、最終的な利益は25.2万円(年利3.5%)となる。

ファンドCを360万円NISAで運用し、360万円特定口座で運用した場合、NISA・特定口座の利益はそれぞれ13.5万円となる。NISA分は税金が掛からず13.5万円全額得られるが、特定口座分は20%の税金が掛かるため、利益は10.8万円になる。
つまり、最終的な利益は24.3万円(年利3.3%)となる。

同じ金額を、同じ資産比率で投資したのに、利回りが異なる結果となってしまいました。
そのため、NISAで運用する商品は利回りが大きいものを選択し、NISA以外で運用する商品は利回りが小さいものを選択する方が税制面では有利です。

ただし、実際にはここまで資産が潤沢で、枠を容易に使い切れる方はそう多くないと思います。
枠を使い切るほどの資産がなく、NISAのみで資産形成するという方は、バランス型投信を活用するという選択も良いと思います。

まとめ

NISAは、国が推進しているだけあって、とても優秀な制度です。
2024年からの新制度で、利便性は更に向上しました。
今まで投資に馴染みのなかった方にとっても使いやすく、投資を始めるきっかけに良いと思います。
まずはNISAを通じて、投資の基本である長期・積立・分散を理解し、資産づくりを始めていきましょう。

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