年齢によってリスク資産の割合を変える必要があるっていいますが…。
自分で割合変えるの面倒だし忘れそうという人もいそうですよね。
そういう人向けにおすすめの商品はないんでしょうか?
そういう人向けに最近はターゲットイヤー型投資信託というものが出ています。
今回はターゲットイヤー型投資信託について解説していきます。
- ターゲットイヤー型投資信託の概要
- ターゲットイヤー型投資信託のメリット・デメリット
- ターゲットイヤー型投資信託がおすすめな人
ターゲットイヤー型投資信託とは
1本で株式や債券等、複数の資産に分散するタイプの投資信託をバランス型投資信託と言います。
ターゲットイヤー型投資信託は、バランス型投資信託の一種です。
ターゲットイヤー型投資信託が一般的なバランス型投資信託と異なる点としては、ターゲットイヤー(運用の最終目標の年)を定め、ターゲットイヤーに向けて資産の割合を自動で調整してくれるところです。
資産運用のセオリーとして、若い時は株式等のリスクが高い資産の割合を多めに持ち、老後は債券等のリスクが低い資産の割合を多めにすると言われますが、通常、自分でポートフォリオの見直しを行い、売買を行うことで、調整をしなければなりません。
しかし、ターゲットイヤー型投資信託はターゲットイヤーにどの様な資産割合にするかあらかじめ決まっており、自分で売買することなく、自動的に割合を変更してくれます。
資産の比率まで変えてくれるなんて簡単ですね!
ターゲットイヤー型投資信託のメリット・デメリット
それではここで、ターゲットイヤー型投資信託のメリット・デメリットを見ていきたいと思います。
メリット
1つ目のメリットは、自動でリバランスしてくれることです。
これは、ターゲットイヤー型投資信託に限ったものではなく、バランス型投資信託全般に言えることですが、例えば運用する中で株式の成績がよく、全体の割合が増えてしまった際に、売却し、元の比率に戻してくれます。
自分で株式や債券等の各資産を選んで投資している場合は、自分で定期的に調整しなければなりませんが、ターゲットイヤー型投資信託を含めたバランス型投資信託に投資している場合は、この手間が掛かりません。
2つ目のメリットは、自動でリアロケーションしてくれることです。
リバランスと異なり、これはターゲットイヤー型投資信託特有のメリットでしょう。
リアロケーションとは、そもそもの資産比率を見直すことです。
例えば、若いうちはリスクを高めに取れますので、株式の比率を多めに取り、年を取るにつれ、債券の比率を増やしていく運用が定番です。
本来ならば、自分で時期を決め、比率を変えていく必要がありますが、ターゲットイヤー型投資信託の場合、定めたターゲットイヤーに向けて自動でリアロケーションしてくれますので、この手間がありません。
なお、アセットアロケーションについては下記の記事で解説していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
デメリット
1つ目のデメリットは、柔軟な運用ができないことです。
ターゲットイヤー型投資信託はターゲットイヤーにどの様な資産比率にするかあらかじめ決めて投資します。
しかし、その時の市場の状況は誰にもわかりません。
仮に、ターゲットイヤーの日経平均が過去最大に上がっているタイミングだったとしても、株式の比率を減らし、債券を増やすため、日経平均高騰の恩恵を小さくなってしまいます。
もちろん逆も然りですが、柔軟な運用ができないことにより、本来享受できた利益を得られない可能性があります。
2つ目のデメリットは、コストが若干高くなることです。
例えば、 野村アセットマネジメントが運用するマイターゲット2030(確定拠出年金向け)の信託報酬は年0.242%です。
これでも十分安いと言えば安いのですが、みんな大好きなオルカンの信託報酬は0.05775%です。
マイターゲットと似たようなアセットアロケーションにしたい場合、他のeMAXIS slimシリーズを使えば、一番高いファンドでも信託報酬は0.15%程度です。
リバランスやリアロケーションをファンド側でお任せしている訳ですから仕方ありませんが、自分で見直しをする知識があれば、その分のコストダウンが可能です。
簡単だけど決められたとおりにしかできないんですね…。
ターゲットイヤー型投資信託がおすすめな人
ここまでターゲットイヤー型投資信託のメリット・デメリットを見てきましたが、それではこのファンドはどの様な人に向いているのでしょうか。
私が思うターゲットイヤー型投資信託が向く人は下記の様な人です。
- 投資の知識がない人・勉強するつもりがない人
- ほったらかし投資をしたい人
- 機会損失が気にならない人
- リタイア時期が明確な人
ターゲットイヤー型投資信託は、仕組みが分かりやすく、手間も掛かりません。
そのため、投資のことは良くわからないし、面倒なことはしたくないという方には向いた商品です。
また、デメリットで示したとおり、柔軟性がないゆえに、機会損失が生じる可能性がありますが、そこが割り切れる方であれば問題ありません。
逆に、みんなが儲かっている時に自分が儲かっていないことに後悔するタイプの方にはあまり向かないでしょう。
最後にリタイア時期が明確になっている人であることも重要ではないかと思います。
ターゲットイヤー=リタイア年という訳ではありませんが、一つの目安としてリタイア時期に合わせてターゲットイヤーを設定する人は多いでしょう。
現在の一般的な退職年齢は65歳だと思いますが、少子高齢化による働き手の不足やそれに伴う年金制度の課題、長寿化等に伴い、数十年後にはもっと働き続けなければならない時代になるかもしれません。
イメージしやすい様に例を出してみますが、100歳まで生き、75歳くらいまで働くのが当たり前の社会が到来してしまったとしたら、きっと年金の受給開始もそのくらいでしょう。
その場合、仮にターゲットイヤーを65歳としてしまっていた場合、リタイアしていないにも関わらず、リスク資産の比率を早々に引き下げることになり、十分な資産形成ができない可能性もあります。
ターゲットイヤーが2030~40年くらいであれば社会の変革の影響も予想の範囲内で済むと思いますが、2060~70年ともなると、もはやどうなっているかわかりません。
そのため、社会に出たばかりの人が今から2070年をターゲットイヤーとして設定するのはリスクが高い様に思えます。
一方、今50歳程度の方が投資を始めてみようとする際に、2040年をターゲットイヤーとする分には、せいぜい15年程度ですので、リスクは比較的抑えられるのではないかと考えます。
何十年も後のことはわかりません…。
ターゲットイヤー型投資信託の商品例
ここまで、ターゲットイヤー型投資信託について解説してきましたが、最後にいくつか実際の商品をご紹介します。
ターゲットイヤーが2030年くらいの商品で、純資産総額が多い5ファンドをピックアップしてみました。
もし、投資を検討している方がいるようでしたら、参考にしてみてください。
ファンド名 | 信託報酬 | 運用会社 |
---|---|---|
マイターゲット2030(確定拠出年金向け) | 0.242% | 野村アセットマネジメント |
りそな ターゲット・イヤー・ファンド2030 | 0.275% | りそなアセットマネジメント |
三菱UFJ ターゲット・イヤーF2030(DC)『愛称:あすへのそなえ』 | 0.374% | 三菱UFJアセットマネジメント |
DCニッセイ ターゲットデートファンド2035 | 0.242% | ニッセイアセットマネジメント |
投資のソムリエ(ターゲット・イヤー2035) | 0.242% | アセットマネジメントOne |
確定拠出年金でしか取り扱いがないものもありますね。
ターゲットイヤー型投資信託自分に合うかはよく検討を
今回はターゲットイヤー型投資信託について解説してきました。
年齢に合わせて資産配分を自動的に調整してくれる投資信託ということで、一見良さそうですが、柔軟性には欠ける商品であることがお分かりになったかと思います。
個人的には、自分でアセットアロケーションを理解して組むことが大事だと思っていますので、積極的にはおすすめしませんが、リタイアが近くなってきており、なおかつ今更投資の勉強もしたくないという方には一考の余地があるかと思います。
自分はターゲットイヤー型の投資信託を選ぶべきなのか、それとも自分でリアロケーションしながら運用していくのが良いのかお悩みの方はご相談に乗ることも可能ですので、お問い合わせよりご連絡ください。
自分でリアロケーションできるならわざわざ選ばなくても良さそうですね。