ヘッジファンドとは?実際の投資経験を基に解説!

涼香

ヘッジファンドって聞いたことはありますが何なんでしょう?

涼香

調べてもあまり情報が見つかりませんでした。

兎月

ヘッジファンドとは、いかなる時でも利益を狙って行く富裕層向けの投資商品です。

兎月

今回は、実際にヘッジファンドに投資している私の見解を述べつつ、謎に包まれたヘッジファンドについて解説していきます。

  • ヘッジファンドの概要
  • ヘッジファンドの投資方法と注意点
  • ヘッジファンドの必要性

今回の記事は上級者向けです。
NISAもiDeCoは満額やっていて、債券投資も完璧、お金が余っているからどこかいい投資先はないかという超売れっ子クリエイターが対象です。
そうでない方は、こういう投資もあるのだということを頭の隅に留めておく程度に流し読みしてください。

目次

ヘッジファンドとは

ヘッジファンドとは、市場が上げ相場、下げ相場を問わず、いかなる時でも利益を狙って行くファンドのことです。
市場の上げ下げを避ける(=ヘッジ)することから、ヘッジファンドと呼ばれます。

一般的なアクティブファンドは、ベンチマーク(日経平均、S&P500等)を上回る様に運用します。
例えば、仮にベンチマークが-20%である中、あるアクティブファンドの成績が-15%であった場合、資産は目減りしています。
しかし、ベンチマークを上回っているということは、市場よりも目減り額は小さいため、運用としては大成功です。
つまり、一般的な投資信託はベンチマークに対し、相対収益を追求しているということです。

一方で、ヘッジファンドは、ベンチマークが-20%であっても、資産を減らさず、むしろ利益を得るように運用します。
アクティブファンド以上にアクティブですね。
つまり、ヘッジファンドは絶対収益を追求しているということです。

なお、アクティブファンドに興味がある場合は、下記の記事で解説しています。

兎月

絶対収益追求型投信と言われたりします。

公募投信と私募投信

公募と私募という言葉を聞いたことはありますか?
字面から想像がつきますが、「公募には、広く一般から募集する」という意味があります。
「○○を公募する」というフレーズは日常的にも使うことがあるのではないでしょうか。

通常、投資信託を購入する場合、ネットにせよ窓口にせよ、証券会社で注文を出して買っていると思います。
不特定多数の投資家に対して情報が公開されており、自分の買いたい時に購入できる(公に募集)ことから、公募投資信託と言われます。

ところで普段、投資信託を探す中で、ヘッジファンドの情報を目にすることはあったでしょうか。
ネットで調べてもほとんど情報がないはずです。
ヘッジファンドは公募投信と異なり、特定少数にしか勧誘を行うことができません。
この様な投資信託を私募投資信託と言います。
下記は、日本証券業協会のホームページからの引用です。

取得勧誘であって有価証券の募集に該当しないもののこと。以下の3つがある。
・少数(50人未満)の投資家を対象とする「少人数私募」
・一定の要件を満たして特定投資家のみを相手方として行うもの
・適格機関投資家のみを対象にするいわゆる「プロ私募」

引用|日本証券業協会 制度・ガイドライン・諸規則等 (有価証券の)私募

この様に、限られた人にしか投資できないため、情報が出回らないんですね。

涼香

まさに、「あなただけの特別なお話…」という訳ですね。

投資方法

それでは、そんなに情報が出回らないヘッジファンドですが、どの様に投資したら良いのでしょうか。
主な方法は下記のとおりです。

証券会社に相談する

一番敷居が低いのは証券会社に相談することです。
数ある証券会社の中で、ヘッジファンドを取り扱っている会社が存在します。
エアーズシー証券くにうみAI証券ヘッジファンド証券三田証券Leading証券などは、ホームページ上でヘッジファンドを扱っていることを公言していますので、比較的相談しやすいのではないでしょうか。

IFA・RIAに相談する

次の選択肢が、IFA・RIAに相談することです。
IFA・RIAどちらも聞きなれない言葉だと思います。
IFA(Independent Financial Adviser)は独立系ファイナンシャル・アドバイザー、RIA(Registered Investment Adviser)は、投資助言業者を指します。
IFAは特定の証券会社に属さず、複数の証券会社と提携し、顧客に合った商品を提案します。
一方RIAは、契約している顧客に対し、投資助言を行うことで、資産の増加を図ります。
こういった業者も、ヘッジファンドの仲介をしている場合があります。

なお、FPと似ていると思った方もいるかもしれませんが、FPは個別銘柄の仲介や、投資助言を行えません。
上記のような業務を取り扱っているFP事務所もあるかもしれませんが、それはIFAやRIAの立場で業務を行っているのであり、FPとして行っているのではありません。

運用会社に相談する

このあたりからハードルが少し高くなってきます。
三つ目の方法が、ヘッジファンドの運用会社に直接連絡をするという方法です。
ちなみに私はこの方法で投資しています。

この方法の良いところは、直接運用会社に話が聞けるということです。
これまでに紹介してきた方法は、あくまで仲介でしかありません。
証券会社やIFA、RIA自身が運用している訳ではありませんので、運用会社から得た情報以上のことは説明できません。
運用会社に対し、突っ込んだ質問をしたり、会社の雰囲気を掴みたいならば、この方法が確実です。

ただし、運用会社に相談すると、そこで運用しているファンドのみしか話が聞けません。
選択肢は狭まりますので注意が必要です。

プライベートバンクに相談する

最後にプライベートバンクに相談する方法です。
プライベートバンクとは、資産を数十億持っている様な富裕層の資産管理全般を担う金融機関です。
莫大な資産を持っていることが前提なので、ハードルがとても高い…というよりも、このクラスの方であればもはやこのブログを見ていないと思いますので詳細は割愛しますが、本来的には、ヘッジファンドとは、こういった人々が投資するものです。
海外の超名門ヘッジファンドに投資するならば、プライベートバンクでないとアクセスが難しいのではないでしょうか。

涼香

かなり方法が限られているんですね…。

注意事項

ヘッジファンドへの投資を検討するにあたり、注意事項があります。
下記については、必ず理解したうえで投資してください。

最低投資金額

最低投資金額ですが、公募投信と異なり、とてもハードルが高いです。
超富裕層向けの海外の有名なヘッジファンドの最低投資額は億単位で、まず庶民には手が出せません。
そのため、この辺は基本的にご縁がないと思っていただいて結構です。

一方、国内からアクセスできるヘッジファンドですと、大体1口1,000万円くらいから購入できることが多いです。
米ドルで10万ドルからというケースもありますね。
これでも高いことには変わりありませんが、数億と比べれば、まだ手の届く範囲ではないでしょうか。

ただし、最低投資額が高いため、全財産が1,000万ちょっとの方がやるにはハイリスク過ぎます。
せめて3,000万円くらいはないと、万が一の時、致命傷となります。

運用コスト

ヘッジファンドは運用コストも高い傾向にあります。
投資先によりますが、管理手数料として投資額の2%に加え、運用資産額が過去最高額(ハイウォーターマーク)を上回り、利益が出た場合、20%の成功報酬を支払う2:20モデルを採用しているものが多い印象です。
ファンドマネージャーは、新高値をつければ、成功報酬を得られます。
そのため、モチベーション高く運用してくれることが期待されます。

ただし、日興リサーチセンターが出しているレポート「【Short Review】ヘッジファンドの手数料と流動性の変化」を読むと、最近は運用コストも減少傾向にある様です。

いずれにせよ、絶対収益を追求するためには、運用にあたってどうしてもそれなりのお金が掛かります。
そのため、インデックス投信のような、低コストでないと許容できない方には向きません。

税金の扱い

ヘッジファンドというよりも、私募の場合、公募と異なり、税金の扱いが特殊です。
一般的な投資信託を売却して利益が出た場合、申告分離課税として、一律20.315%の税金が徴収されます。

しかし、私募投信の場合、種類によって課税方法が異なります。
例えば、私募株式投信を解約し、償還差益が出た場合、総合課税となります。
つまり、所得によっては、一般的な公募投信以上の税金を払うことになる可能性もあるということです。

自分が投資するヘッジファンドの分類が何なのか、どの様に課税されるのか理解し、正しく対応できることが必要です。
不安な場合は、税理士に相談しましょう。

信頼性

これが一番重要な注意事項です。
自分の大切なお金を預ける先の信頼性をよく確認してください。
ネットでヘッジファンドについてを調べると、色々な業者が出てきますが、中にはヘッジファンドを語る怪しい会社が混じっている可能性があるということです。
ここでは、実際の事例をご紹介します。

エクシア合同会社という業者が訴訟を起こされています。
エクシアは、合同会社の社員権スキームという方法で資金調達をしていました。
通常、金融商品の勧誘をする場合、金融商品取引法上、金融商品取引業の登録が定められていますが、このスキームを使った場合、当時、金融商品取引業の登録が不要でした。
※2022年10月3日法改正により、合同会社スキームでも金融商品取引業の登録が必要になりました。
(参考|金融庁 合同会社等の社員権の取得勧誘にご注意ください!)

この会社の社長は、東京モード学園を卒業後、独学でFXトレーダーとなり、華々しい実績を経て、エクシアを設立したという異例の経歴の持ち主とされていました。
また、創業以来、平均月利3%のリターンを出し続け、一度もマイナスの月がないとも宣伝していました。

驚異的な利回りに加え、六本木にオフィスを構えたり、看板で宣伝したり等、羽振りが良く、多くの人がエクシアに出資しました。
ところが、2022年になると出金・解約ができない事態となり、大炎上。
そこからは、元副社長のポンジスキーム(投資詐欺)発言やら訴訟、社長自らエクシアの幕引きへと至ります。

この様な事例もありますので、ヘッジファンドへ投資する際には、相手の信頼性を十二分に確認することが何よりも大事です。
投資を検討する際には、少なくとも下記は、必ず確認する様にしましょう。

涼香

公募投信にはない注意事項がたくさんです…。

投資戦略

それでは、ヘッジファンドはどの様な投資戦略で絶対収益を追求していくのでしょうか。
ここでは、有名な戦略をいくつかご紹介します。

ロング・ショート戦略

一番メジャーで、イメージしやすい戦略です。
今後上がっていきそうな株を買い(ロング)、今後下がっていきそうな株を売る(ショート)することで、市場の上下に囚われず、収益を追求する戦略です。
後述するマーケット・ニュートラル戦略と異なり、ロングかショートいずれかを多めに保有し、一定の市場リスクを負います。
なお、私が保有しているヘッジファンドはこの戦略を採用しています。

マーケット・ニュートラル戦略

ロングとショートを同額程度組み入れることで、市場リスクを取らない戦略です。
市場(マーケット)に対し、中立(ニュートラル)なため、マーケット・ニュートラル戦略と言います。少しイメージしづらいかもしれませんが、市場の中で、ある銘柄が本来ある価格よりも明らかに乖離しているとします。
これをゆがみと言いますが、市場はこのゆがみを戻そうとする性質があります。
この歪みを見つけることで、市場リスクを取らず、収益を追求する戦略です。

グローバル・マクロ戦略

グローバル・マクロ戦略はその名のとおりですが、世界中の経済動向や、市場をマクロ視点で分析し、株や債券だけでなく、先物や為替等、あらゆる金融商品に対し投資する戦略です。
1990年代にはヘッジファンドにおける主要な戦略だったそうですが、現在は勢いを失っています。

イベント・ドリブン戦略

個別企業のイベントに着目した戦略です。
合併・買収、事業再編、主要株主の変更、決算、指数への組み入れ等、企業で発生する重要なイベントにフォーカスし、収益を得る戦略です。

イベント・ドリブン戦略の中の類型として、アクティビスト投資というものがあります。
企業の株式を一定程度取得し、投資先企業に提言をおこない、企業価値の向上を目指すことで収益を得る戦略です。
かつて、企業の株式を安値で買い占め、経営陣に圧力を掛け、無理な増配やリストラにより、株価をつり上げて売却するという姿がハゲタカと揶揄されていました。
しかし、現在では、対立的とは限らず、友好的かつ経営に資する提案を行うアクティビストも増えてきており、以前の様な悪印象は薄れてきている様です。

涼香

どの戦略を採用しているのか理解しないとですね。

ヘッジファンドに投資すべきなのか

色々と普通の投資に比べてハードルが高そうなヘッジファンドですが、結局のところ投資すべきなのでしょうか。
実際にヘッジファンドに投資している身からすると、個人的な結論としては、「良いものは良いが、一般的な投資家であれば、公募投信で事足りる」です。
その理由を説明していきます。

私は運よく、比較的良いヘッジファンドに出会えたと思っています。
いかなる下落場面においても絶対収益を得られているということはありませんが、市場が下落している時にベンチマークより下落幅を抑え、それこそ逆に収益を取りに行ったりと、リスクをヘッジし、効率的かつ安定的な運用をしてくれています。
投資の効率性を示すシャープレシオも高めです。
自分のポートフォリオに入れていることで、他の投信とは別の動きをしてくれ、分散投資に寄与してくれています。

これだけ聞くと、良いこと尽くしの様ですが、やはりヘッジファンドは手を出しづらいです。
注意事項でも説明してきましたが、最低投資額や運用コストは高いですし、私募のため、税金の扱いも異なります。
そして何よりも、ファンドの良し悪しの判断が難しいということです。
公募投信の様に開かれている訳ではないため、情報がとにかく少ないです。
投資は自分で考えて判断しなければならないのは当たり前ですが、そのための判断材料が圧倒的に不足しています。
ある程度、投資の知識を持っており、限られた情報の中で判断できる人か、信頼できるアドバイザーが身近にいる人でないと、ヘッジファンドへの投資は難しいのではないでしょうか。

良いヘッジファンドに出会えればベストですが、そこまでせずとも、良い公募投信はたくさんありますし、十分な利益を得られます。
100円から購入でき、いつでも売却可能、調べれば解説してくれる人も多く、判断材料にも困りません。
そのため、一般的には、無理にヘッジファンドに手を出さず、扱いやすい公募投信で運用するのがベターでしょう。
ヘッジファンドは、投資経験値が高く、資金を余らせている方が、コア・サテライト戦略のサテライトに充てるアセットとして利用するのが良いのではないでしょうか。

コア・サテライト戦略については、下記の記事で解説していますので、ご興味のある方はご覧ください。

涼香

まずは基本の公募投信でしっかり運用することが先決ですね。

投資にあたっては慎重に検討を

今回は、ヘッジファンドについて解説してきました。
なかなか普段情報に触れることができないヘッジファンドですが、投資にあたっては、慎重に検討する必要があります。
ヘッジファンドの性質を理解し、自分のポートフォリオに真に必要か判断したうえで投資する様にしましょう。

ヘッジファンドに興味があり、話をもう少し聞きたいということがありましたら、問い合わせフォームよりご連絡ください。
なお、現在私が投資しているヘッジファンドは、投資上限額到達により、追加投資できません。
そのため、ご紹介は行っておりませんのでご容赦ください。
※ファンドの戦略によっては、運用額が大きくなりすぎるとパフォーマンスに影響が出るため、投資上限額を設けていることがあります。

涼香

私はもうちょっと資産が増えたときに検討します。

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