新NISAで積立投資を始めてみましたが、ほかにも何か投資した方がいいんでしょうか?
そういえば債券ってどうなんでしょう…。
ローリスクな投資の定番として債券投資があります。
今回は債券の中でも、米国債(生債券)にフォーカスを当てて解説していきます。
債券は日々の値動きを気にする必要ありません。
そのため、仕事に集中したいクリエイターにおすすめの投資方法です。
- 債券のしくみ
- 米国の信用力
- 米国債投資のポイント3選
債券とは
債券とは、国や企業等(発行体)が資金調達する際に発行する借用書の様なものです。
債券を発行した発行体は、資金提供してくれた投資家への見返りとして、利息を支払います。
また、債券は満期まで保有していると、基本的には償還され、投資していたお金が戻ってきます。
この様に、債券投資は投資した時点で利回りが確定するため、Fixed Incomeと呼ばれます。
イメージしやすい様に、例を見てみましょう。
新たに発行された、5年満期、年利5%の債券を100万円分購入した場合
新たに発行された債券を新発債と言います。
逆にすでに発行されている債券を既発債と言います。
今回、この新発債を100万円分購入した場合、毎年、100万円の5%である5万円を受け取ることができます。
また、5年の満期を迎えると、100万円がそのまま戻ってきます。
そのため、この債券を100万円分購入すると、5年後には100万円全額に加え、利子の5万円×5年=25万円を受け取ることができます。
債券により調達したお金は返済しなければならないお金ですので、原則、利息をつけて全額返ってきます。
しかし、発行体が破綻するようなことがあると、お金が戻ってこないケースがありますので注意が必要です。
そうはいっても、株の配当金と異なり、購入時点で利子が確定しており、満期まで持ち続ければ元のお金が戻ってきますし、先進国や大手企業等、破綻の可能性が低い発行体を選べば、比較的ローリスクな投資先であると言えるでしょう。
なお、債券への投資は、債券自体(生債券)に投資する方法と、投資信託(ETF含む)に投資する方法がありますが、今回は債券そのもの、つまり生債券に投資する場合を前提に説明していきます。
償還まで持ち続けられるならば、投資信託と異なり、日々の値動きを気にする必要がないため、仕事に集中したいクリエイターにぴったりな投資方法とも言えます。
クリエイター向けの投資方法については、下記の記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
購入時点で利益が確定するのは分かりやすくていいですね。
世界経済の中心はどこか
突然ですが、世界経済の中心と言われればどこの国が思い浮かぶでしょうか。
大半の方はアメリカと答えると思います。
事実、IMF(国際通貨基金)が発表した2024年のアメリカのGDPは27,966,553百万US$で世界一位です。
また、数ある通貨の中で中心的な役割を果たしているのは米ドルです。
しかし、平家物語の冒頭の一節に、盛者必衰の理とありますが、いくら今現在の勢いが盛んであっても、いつかは衰えます。
今はアメリカが世界の筆頭だと思いますが、いつかは衰退する日がくるかもしれません。
そうはいっても、10年後、20年後にいきなりアメリカが衰退した世界というのは考えづらいですし、今より力が弱まっていたとしても、ある程度の力は保持していると考えられます。
やはりどこの国に投資すべきかと考えたとき、まず思いつくのは現在、世界経済の中心であるアメリカが候補になってきます。
アメリカが衰退ってなかなかイメージ湧かないです。
格付けについて
それではアメリカの信用力とはどの程度のものなのでしょうか。
その指標として、格付けというものが存在します。
三大信用格付け会社と言われるスタンダード&プアーズ、フィッチ・レーティングス、ムーディーズが各国の格付けを発表しています。
いくつかの国と比較しながら米国の格付けを見ていきましょう。
国 | S&P | フィッチ | ムーディーズ |
---|---|---|---|
ドイツ | AAA | AAA | Aaa |
米国 | AA+ | AA+ | Aaa |
日本 | A+ | A | A1 |
インド | BBB- | BBB- | Baa3 |
南アフリカ | BB | BB | Ba2 |
表の見方ですが、S&Pとフィッチは、AAA~A、BBB~B、CCC~Cと表記し、さらにAA~CCCまでに+、ーを加えることで、より細分化されます。
ムーディーズではAaa~A、Baa~B、Caa~Cと表記し、Aa~Caaまでに1、2、3を加えることで細分化します。
見たままですが、Aに近づく程、信用度が高くなります。
BBB(S&P、フィッチ)やBaa(ムーディーズ)までの格付けの債券を投資適格級と言います。
一方で、BBやBa以下の格付けは投資不適格級、ジャンク債などと言います。
米国の信用力はトップなのかと思いきや、実はドイツよりも下です。
表には記載していませんが、スイスやオーストラリア等もドイツと同等で、アメリカよりも上の国はそれなりに存在します。
元々アメリカの格付けはもう少し高かったのですが、2023年に財政悪化や債務負担を理由にフィッチやムーディーズが格付けを引き下げました。
とはいえ、日本よりは上ですし、トップクラスの信用力があることは明らかです。
1位ではないといえ、トップクラスの信用力があるんですね。
米国債投資のポイント3選
米国の信用力がそれなりにあることがわかりました。
ここからは、米国が発行する債券である、米国債への投資のポイントについて3つご紹介します。
高利回りで固定
この記事を書いている2024年5月現在、例として10年米国債の利回りを挙げると、4~5%前後で推移しています。
冒頭で説明した通り、債券は購入時点でデフォルトを起こさない限り、利回りが確定します。
つまり、今10年米国債に投資すれば、10年間、年利回りを4~5%で固定できるということです。
投資の王道と言えば株ですが、株で確実に年5%の利回りを確保するというのは思っている以上に難しいことです。
マイナスになる年もあるでしょう。
一方で、債券は安全性の高いものに投資すれば放っておいても高い確率で安定的な利益を得られます。
米国という信用力が高い国に投資し、年4~5%の利回りが約束されているというのは、非常に魅力的な条件です。
現在、FOMCが利下げのタイミングを計っています。
今すぐ動く雰囲気ではありませんが、今後の方向性としては利下げに向いていくため、この利回りで米国債を購入できるのも今のうちでしょう。
金利は為替より強し
2024年5月の為替は1ドル155円前後で推移しています。
米国債はドルで購入します。
かなりの円安である今購入し、この先円高に振れてしまったら損してしまうのではないか不安に思う方もいると思います。
しかし、円高については、特段気にしなくて良いというのが個人的な見解です。
なぜならば、金利は為替よりも強いからです。
具体例を見ていきましょう。
SBI証券の債券シミュレーションで、下記の既発債を1ドル=155円の為替レートで、100万円分買った場合を検証していきます。
試算の結果、仮に為替が購入時から変動がない場合、約10年間で42.59%、金額にして421,357円の利益を得ることができました。
なお、損益分岐為替は108.70円となりました。
損益分岐為替とは、為替がいくらになったら損するかを示した為替レートになります。
つまり、仮に円高に振れてしまっても、108.70円程度までの円高であれば、少なくとも投資元本は回収できるということです。
今回、10年程度の債券でシミュレーションしてみましたが、より長い期間の債券であれば、為替の影響は更に小さくなります。
30年近くの債券でシミュレーションしたところ、損益分岐為替は66.08円となりました。
なぜなら、為替の影響以上の利息を受け取っているからです。
この様に、いくら為替の変動があろうとも、時間と金利を味方につければ、為替の影響を小さくすることができます。
また、円に換金せず、ドルのまま保有していれば為替を気にする必要はありません。
したがって、債券投資においては、何より金利を優先するべきです。
利付債と割引債
債券には定期的に利息が支払われる利付債と利息が支払われない代わりに割引された価格で購入できる割引債(ストリップス債・ゼロクーポン債)があります。
米国債は流通量が他国の国債として圧倒的に多く、利付債も割引債も選択肢が多くあるため、投資家自身の目的に応じ、自由に選ぶことが出来ます。
社債や他国の国債ではなかなか割引債の選択肢がありません。
そのため、これだけ自由に選択できるのも米国債の強みです。
どちらが良いかは目的によるため一概には言えませんが、投資効率が良いのは割引債です。
なぜならば、利息の支払いがないため、利息を再投資しているのと同じであり、複利効果が大きいことと、税金の支払いを先送りにできるからです。
そのため、投資期間が長く取れる資産形成期の方には、割引債の方が向いているのではないかと個人的に考えています。
実際、私が投資している米国債は30年近く残存期間がある割引債です。
一方で、利付債は自動的に利息が支払われますので、自分で取り崩していく必要がありません。
そのため、資産活用期の方には、利付債が向くのではないでしょうか。
米国の信用力でこれだけのリターンがあるのはすごく魅力的です!
米国債でローリスクミドルリターンを
今回は、米国債について説明してきました。
債券は、一度購入し、償還まで持ち続ければ、日々の値動きに惑わされることがありません。
仕事に集中したいクリエイターにはおすすめの投資手段だと言えるでしょう。
今ならば、世界経済の中心である米国が発行し、信用力も高い米国債で、長期間4~5%程度のリターンを得ることができます。
また、時間を味方につけ、長期投資することで円高の影響を最小限にすることができます。
さらに、投資目的に応じて、利付債と割引債を選択する自由度もあります。
新NISAの影に隠れがちですが、今ならローリスクミドルリターンを実現できる優秀な投資先です。
この機会に、米国債への投資も検討してみてはいかがでしょうか。
この記事をみて米国債投資に興味を持たれた方、もう少し知りたいことがある方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。
私自身、米国債に投資していますので、実践に基づき、ご相談に乗ることも可能です。
米国債への投資…挑戦してみます!